
酒が弱い?俺の注いだ酒が飲めねぇのか!飲んだら強くなるんだから黙って飲んだら良いんだよ!!

寝酒が癖になっちゃったなぁ…まぁ少量の飲酒は健康にも良いって言うし、問題ないだろう。

たくさん飲んだな〜。「酒は百薬の長」って言うし、もう1軒いくか〜。
こんな方々が実際にいるとかいないとか…。それはそれとして、私自身も30歳くらいまでは飲み会に行くとお酒をかなり飲む方でした。酔っ払って終電を逃したり、終電に乗って目的地で降りられずに終点まで行くという失敗も何度もしました…。現在はほとんどお酒を飲みませんが、お酒が好きな人の気持ちは分かるつもりです。自分の口に合うものは美味しいですし、気の置けない仲間と飲むのは楽しいですよね。
しかし、今回は整体師目線でお酒の怖さについてをブログ記事にしました。なお、あくまで一般論をベースとし、私なりに「分かりやすく」を意識してまとめたため、造詣の深い方や医療従事者や専門家の方からはツッコミ所もあるかとは思いますが、どうか広い心で読み進めていただければ幸いです。なお、今回は以下の私の動画をベースにした内容になっております。
なお、動画をベースにしていますがブログではもう少し深いところまでお伝えしている部分もありますので、目次を見ながら興味のある部分だけでもお読みください。
もくじ
「酒は百薬の長」は本当か

長年、「酒は百薬の長」と言われてきましたが、結論から言うと最新の医学研究ではその考えを見直す必要性が指摘されているようです。お酒(アルコール)が体に与える影響について、科学的知見から一緒に見ていきましょう。
お酒の分解メカニズムを知ろう
化学式が出てくるとアレルギー反応を起こす方もいらっしゃるかもしれませんが、ざっくりと良いので下記の画像をご覧ください。

お酒(化学式ではエタノール)は肝臓でアセトアルデヒドに分解され、さらに酢酸にまで分解されます。ここでいくつか前提知識を整理すると…
- エタノールとアセトアルデヒドは体にとって有害な物質である(アセトアルデヒドは二日酔いの原因物質とされています)
- エタノールとアセトアルデヒドを分解する酵素の力には個人差がある
- 酢酸は無害な物質で、体のエネルギー源になる
まずはこの3点をざっくりと覚えておいてください。
お酒は痛みやしびれの原因になる
お酒(エタノール)とその代謝産物(アセトアルデヒド)は体にとって有害の物質としましたが、その理由の1つとしてさまざまな要因で痛みやしびれの原因となります。特にアセトアルデヒドは、「体のコゲつき」と呼ばれる糖化反応(Glycation)と同様の作用を引き起こします。

アルデヒドによる糖化反応が起こることで、例えば血管や骨、筋肉などの組織が硬く、もろくなっていきます。結果として、もろくなった組織は壊れやすい(ケガをしやすい)ので痛みやしびれの原因になってしまうのです。このような背景が挙げられ、実際に医学研究によれば、慢性的な飲酒は神経障害性疼痛のリスクを上げることも報告されているようです。

飲酒が痛みやしびれに関与するなんて、なかなか思い至らない方も多いのではないでしょうか。
実例:上腕骨頭壊死をした患者さん
このお酒の害をお伝えする上で忘れられない患者さんがいらっしゃいます。それは私が整形外科に勤務していた頃に担当した80代の女性はお酒が大好きな方でした。普段は膝を中心としたリハビリをしていたのですが、ある日、肩関節の痛みを訴えられました。
当初の医師の診断は五十肩(診断名:肩関節周囲炎)で、「80代でも“五十肩”なんて言うのね〜」なんて冗談を言いながらリハビリをしていました。しかし、程なくして冗談なんて言っていられないほどに悪化し、少し動かすだけでも悲鳴を上げるほどの痛みになりました。

慎重にリハビリをしていましたが回復する気配がなく、「どうもおかしいぞ…」と思い、医師と相談の上、もう一度レントゲンを撮ってもらったところ、なんと上腕骨頭(二の腕の骨の肩関節の部分)が壊死していました。壊死とは、簡単に言えば骨が腐っている状態です。骨が腐っていたのですから、それは想像を絶する痛みだったはずです。結局その方は人工骨頭置換術という、腐った骨の部分を取り除いて人工の骨に入れ換える手術を受けられました。

人工骨頭にしたので痛みからは解放されましたが、人工骨頭にすると肩関節は90°くらいまでしか上げられなくなります(手が肩と同じくらいまでしか上がりません)。着替えや洗髪動作など、どうしても制限が生じてしまうようになってしまいました。当時は知識がなかったので分かりませんでしたが、慢性的な飲酒習慣によって傷つきやすくなっていた肩関節の組織が損傷し、最終的に壊死に至ったのであろうと推察されます。
このように、本来であれば組織損傷が起きても回復できるはずなのですが、慢性的な飲酒習慣によって組織の回復が行われにくい状態にあると骨の壊死にまで発展してしまいます。この辺りに関しては、糖尿病のブログでも同じように知識をシェアしておりますのでぜひご読みください。
お酒を飲むことの是非
ここまでお読みいただくと、一見して私は飲酒について否定的な意見を持っていると思われるかもしれません。もちろん、整体師という仕事をしている以上「お体のことを考えれば飲酒はしない方が良いです」と言わざるを得ません。しかし、そもそも私もお酒をたくさん飲む人でした。そのため、1人の人間としてはお酒が好きな人の気持ち、お酒を作る方々の想い、紡がれてきた文化を考えれば「絶対的にダメ」と言う気持ちは個人的にはありません。
ここからはこれまでとは違う視点でお酒を飲むことの是非についてお伝えしていきます。
お酒のメリット
お酒は短期間であれば、痛みを和らげる効果が確認されています。また冒頭にもお伝えした通り、古くから言われている「飲みニュケーション」もあるでしょう。

適量であれば、人間関係を深める・円滑にする作用もあるかと思います。また、一部では「適量の飲酒をしている方が寿命が長い」という研究もあるようです。ただし後述しますが、適量とは個人差がありますし、寿命に関与する要因は多くあります。現代人にとって食事はただの栄養摂取だけではなくコミュニケーションと言う側面もあるため、食事を楽しんでいる人(ストレスの少ない人、日常生活が充実している人)は寿命が延びやすいのかもしれません。
お酒のデメリット
これまでにお伝えしてきたことの他にも、慢性的な飲酒には脳萎縮や食道がん、咽頭喉頭がん、胃がん、直腸がんのリスクが指摘されています。また、そもそもお酒は社会で最も許容されている毒物の一種であり、その耐性に個人差の大きい毒物の1つでしょう。

ところで「お酒は飲むと強くなる」と聞いたことがあると思います。これは真実なのですが、危険な側面もありますので解説をしていきます。
お酒は飲むと強くなるが、良いことではない
ここでもう一度、お酒の分解過程を見てみましょう。

エタノールがアセトアルデヒドに分解される時にはADH(アルコール脱水素酵素)が働き、アセトアルデヒドが酢酸に分解されるときにはALDH(アルデヒド脱水素酵素)が働きます。お酒の強い・弱いの個人差はこの2つの酵素の働きの強さによるとされています。
しかし、これら2つの酵素の働きは生涯変わるわけではないとされています。ではどうしてお酒を飲むと強くなるのかというと、シトクロムP450という薬物や有毒物質、発がん物質などを代謝する酵素の働きが強くなるためと言われています。しかし、シトクロムP450のようなさまざまな化学反応に関わる酵素の働きが増してしまうと、例えば薬物代謝に影響を与えるので薬の効きが悪くなったり、逆に副作用が強く出てしまうことが考えられます。飲めなかったお酒が飲めるようになった方は、もしかしたら気が付かない内に体内でデメリットな反応が進んでいるかもしれません。
酒を飲んで亡くなった実父
私の父は酒が大好きで、ほぼ毎日飲酒し、本当にどうしようもなくなるまで酔っ払うような人でした。そんな父は2020年3月に朝から夜までしこたま酒を飲み、酔っ払ったまま旅行先の温泉に入って急性虚血性心疾患(いわゆる急性心不全)で亡くなりました。あれだけお酒を飲んでいたのに健康診断の結果は良好だったようですが、それでも亡くなるときには亡くなるものです。
これについては個人的な話をラジオ風にしてお話ししているので、ご興味がある時にでもお聴きください。
よく「酒は人をダメにする」とも言いますが、個人的には「酒はダメな人を明らかにする」だと思っています。酔い方が綺麗な方もたくさんいらっしゃいますものね…。
まとめ:お酒はほどほどに
今回は飲酒に関して整体師として、そして一人の人間としてブログを書かせていただきました。結論としては、現在のところは「お酒はほどほどに」としておきたいと思います。

しかし、最新の医学研究では「適量の飲酒は健康に良い」という考えは見直しが必要とされています。あくまで「お酒の本質は人体にとって毒」と言うことを前提として、飲酒習慣のある方はご自身の生活・人生における優先順位を決めて、お酒との付き合い方を見直してみてはいかがでしょうか。
神奈川県伊勢原市の整体院すいっちではさまざまなお悩みの方に選ばれ、施術させていただいています。ぜひ、以下の画像をタップして当院のホームページもご覧になってみてください。

私はお酒に強いから大丈夫!妊娠中でも関係ないわ〜!!