
結帯動作(けったいどうさ)はなかなか改善しなくて大変ですよね…ところで、自然と首をすくめてしまっていて、非効率な動きをしていることにお気づきですか?

え?!全然気が付きませんでした…そういうのも関係しているんですか?

そういうことってあるんです。今回も結帯動作時の肩関節に注目をしますが、その時の効率的な動きに意識を向けてみましょう!
もくじ
四十肩・五十肩を治すための基礎知識(まずお読みください)

以前のブログ(【四十肩・五十肩】痛む場所は肩だけ?腕も痛いのはなぜ?)でもお伝えしたように、四十肩・五十肩は何らかのきっかけで肩関節の組織が傷つき、その傷の修復を行うべく起きる炎症を本態とする病気です。炎症が起きている間に生じる強い痛みやそれに伴う可動域制限、また炎症後には組織がカサブタのように硬くなってしまうことによる可動域制限などが生じます。
また炎症による痛みが生じると関節がずれないように(傷口がそれ以上広がらないように)筋肉が強く収縮し、炎症が治った後も収縮が持続してしまうことがあります。この筋肉の持続的な収縮は血行障害や神経の挟み込みなどを引き起こし、二次的・三次的な痛みや可動域制限を生じさせます。ここまでのお話は以下の関連記事にて詳しくお伝えしています。
結帯動作とは(復習)
結帯動作とは、手を背中側に回す動作のことです。

これは着物の帯を結ぶ動作に由来する名称ですが、実は着物の着付けでは私たちの日常生活の様々な場面で必要となります。例えば…
- エプロンの紐を結ぶ
- ズボンの後ろポケットを使う
- ズボンや下着の脱ぎ履き
- トイレでの後始末
などなど、多くの動作に関わっています。特に女性の場合はブラジャーの着脱にも影響するため、より深刻な問題となりやすいです。
結帯動作で問題となりやすい非効率な動き
今回のテーマは結帯動作における非効率な動きです。では具体的にどんな動きが非効率なものかというと、圧倒的に多いのが首(肩)をすくめる動きです。この時には上半身が前屈みになって猫背になることも特徴です(下記画像参照)。

この非効率な動きをしてしまう背景には…
1.肩関節、肩甲骨、背骨の柔軟性が足りない
2.痛みがある
3.効率的な動きを忘れてしまっている
このようなことが考えられます。1と2に関してはそれぞれの原因に対してアプローチすることが重要ですが、意外と3を見落としがちなのです。そもそも五十肩は発症から改善まで数ヶ月〜数年を要すことも珍しくない疾患です。その間に組織の柔軟性や痛みも変化しますが、不十分な可動域しかない状態でどうにかこうにか結帯動作を実践しているうちに非効率的な動きを体が覚えてしまっているということがあります。
今回お伝えするのは効率的な結帯動作を覚え直すというイメージです。効率的でスムーズにできている深い結帯動作では少なくとも以下の2つの特徴があります。
1.背筋が伸びている(同時に胸が張れている)
2.肩甲骨の内側が浮いている

後ろで合掌(ナマステ)ができるまで可動域を広げる必要があるのかは個人差がありますが、ズボンや下着(特に女性はブラジャー)の着脱はできるくらいには可動域が必要な方は多いはずです。では、効率的な結帯動作を行うにはどのような方法があるのでしょうか。以下の注意事項の次からお伝えしていきます。
【注意事項】実践の前にご確認を!
結帯動作は肩関節、肩甲骨、背骨など複数の部位が関与する複雑な動きです。そもそも五十肩は炎症によって肩関節の組織が硬くなって柔軟性が失われていることが多いです。また、痛みを経験したりすることで効率的な動きが阻害され、非効率的な動きが習慣化してしまいます。
今回お伝えする結帯動作の効率的な方法を習得するには、肩周りの組織の柔軟性が十分にあり、痛みもかなり改善していることが条件となります。可動域が不十分で(バンザイが十分にできないなど)、痛みがまだ強い時期には、まずそれらの問題に対処することが優先されます。
これまで結帯動作については2つブログ記事を書いています。これらの記事も参考になると思いますので、ぜひお読みください。
結帯動作の治し方:効率的な結帯動作を再獲得する!
今回は以下の動画に則ってお伝えしていきます。動画の下には写真と文章でお伝えしています。
肩関節の動きを誘導する
非効率な結帯動作では首(肩)がすくみ、前屈みになりがちだと先ほどお話をしました。そのため、背筋を伸ばし胸を張っているという前提でお話を進めていきます。
後ろに回したい方の肩関節の辺りをもう片方の手で押さえて、前方かつ下方に誘導しましょう。例えば、下記画像のように上から肩関節を押さえても良いです。

また、反対側の肩関節の可動域が十分にあれば後ろから手を回し、結帯動作をする方の腕を掴み、下に引っ張るようにしても良いでしょう(下記画像)。

STEP1で行ったように肩関節(正確には上腕骨頭:)を誘導できた状態で結帯動作を行い、痛みや可動域に改善を感じられたら結帯動作を反復しましょう。何回か試して動きの感覚を覚えたら誘導なしで結帯動作を行ってみてください。

非常に簡単ですが以上です。「え、これだけ?」と思うかもしれませんが、意外と改善が見られる方もいらっしゃいます。効率的な結帯動作の再獲得するには、このように反対側の手で誘導することも有効です。また、別の方法として以下のような方法があります。
タオルを使った肩関節の誘導方法
以下の動画はヨガの牛面のポーズのやり方をご説明しているものですが、フェイスタオルを使ってポーズを深める方法をご紹介しています。これが結帯動作を深める練習にもなります。
フェイスタオルを上に回す手で持ち、上から垂らして下の手でキャッチしましょう。

動画では「下の手で引く」と言っていますが、今回のブログテーマに則れば、上の手でタオルを引くことで肩関節を誘導し、結帯動作の効率化を行うことができます。ついでに深呼吸もすれば背骨や肋骨の柔軟性アップも期待できます。

このようにタオルなど道具を使って行う方法も良いと思います。
結帯動作の改善までの目安
結帯動作の改善には、通常数週間から数ヶ月程度かかります。これは腕を上げる動作に比べて複雑な動きを必要とするためです。ただ、これはかなり希望的観測を含んだ期間です。
そもそも四十肩・五十肩の重傷例の場合は改善までに最短でも10ヶ月くらいかかり、人によっては数年を要すとも言われています。この辺りについては五十肩の基礎知識のブログをご参照ください。
本日のまとめ:結帯動作の改善に効率的な方法の再獲得を!
今回は四十肩・五十肩で問題になりやすい結帯動作の治し方をテーマにして、結帯動作の効率的な方法の再獲得方法をお伝えしました。
お伝えしたように、五十肩になって肩関節が動かせない(動かしにくい)状態が長く続けば続くほど、無意識なうちに非効率的な動きが習慣化してしまっていることがあります。このような動作のエラーというものは五十肩に限らず起きるものなのですが、エラーの起きている動作の修正(効率的な動作の再獲得)という視点を持つことはとても重要です。
結帯動作は改善までに時間がかかって難渋しやすい動きではありますが、決して諦める必要のない症状です。そして、焦らず段階的に改善を目指していくことが、最も確実な回復への近道となります。
今回は結帯動作そのものの効率的な動きに注目してお伝えしてきましたが、その他にも結帯動作を改善するポイントは多くありますので今後もブログでご紹介していきます。
神奈川県伊勢原市の整体院すいっちでは四十肩・五十肩にお悩みの方に選ばれ、施術させていただいています。ぜひ、以下の画像をタップして当院のホームページもご覧になってみてください。

うーん…五十肩になってだいぶ肩も上がるようになったけど、どうにも手を後ろに回すのだけが上手くいかずに困ってるのよね…。