
長引く五十肩でお困りのようですね。ところで五十肩では姿勢を改善することもとても大切なんです。怖がらせるつもりはありませんが…姿勢も改善しないと、もしかしたら良くなった五十肩が再発してしまうかも…。

え?!この苦しみがまたやってくるなんて嫌です…姿勢も改善したいので教えてください!

承知いたしました!では姿勢と肩関節の関係性や、五十肩でよく見られる猫背姿勢の改善法などをお伝えしていきますね。
もくじ
四十肩・五十肩を治すための基礎知識(まずお読みください)

以前のブログ(【四十肩・五十肩】痛む場所は肩だけ?腕も痛いのはなぜ?)でもお伝えしたように、四十肩・五十肩は何らかのきっかけで肩関節の組織が傷つき、その傷の修復を行うべく起きる炎症を本態とする病気です。炎症が起きている間に生じる強い痛みやそれに伴う可動域制限、また炎症後には組織がカサブタのように硬くなってしまうことによる可動域制限などが生じます。
また炎症による痛みが生じると関節がずれないように(傷口がそれ以上広がらないように)筋肉が強く収縮し、炎症が治った後も収縮が持続してしまうことがあります。この筋肉の持続的な収縮は血行障害や神経の挟み込みなどを引き起こし、二次的・三次的な痛みや可動域制限を生じさせます。ここまでのお話は以下の関連記事にて詳しくお伝えしています。
こういった知識を前提とし、今回は四十肩・五十肩の治し方として姿勢の重要性・改善法をお伝えしていきます。
なぜ姿勢が重要なのか?

「私、姿勢が悪いんですよねぇ」
職業柄、このように言う方には多く出会いますが、姿勢の悪さによる弊害を心底理解している人は少ないように思います。悪い姿勢による影響は今回のテーマでもある肩関節やその周りの筋肉だけでなく、その他の関節や筋肉だけでなく内臓や心理面にも影響が出てくるのですが…今回はあくまで四十肩・五十肩の治し方にフォーカスしたお話をしていきます。
なお、手前味噌ですが以下の動画でもこの後に文章でお伝えする内容と同じような内容をお伝えしています。動画が良い方は以下の動画をご覧いただき、文章が良い方は動画の下に続く文章をお読みください。
肩関節の構造
肩関節と姿勢の関係性のお話をする前に、肩関節の構造のお話をします。
肩関節にはさまざまな関節が関わるので肩関節複合体とも呼ばれるのですが、狭義の肩関節(専門的には肩甲上腕関節と言います)は上腕骨(二の腕の骨)、肩甲骨、鎖骨で構成されています。ちなみに肩甲骨は鎖骨としかつながっておらず、肋骨の上を滑るように動きます。ここはとても重要なポイントなので覚えておいてください。

なお、後ほどご説明しますが、肩関節を動かすためには背骨・肋骨の動きも重要になってきますし、背骨・肋骨の動きを確保するためには骨盤や足の骨の状態も重要になってきます。
さて、狭義の肩関節を構成する骨には靭帯・関節包といった関節を安定させる組織が付着しています。これらは体の構造の中でも深い位置にあります。

ちなみに四十肩・五十肩の重症例(炎症が強く起きてしまった例)ではこの靭帯・関節包にまで炎症が及んでしまい、炎症が治った後にはガチガチの四十肩・五十肩になります。そうなると可動域を回復させるまでには10ヶ月前後はかかると言われています。詳しくは以下の関連記事をご参照ください。
そして上記のような関節を安定させる靭帯・関節包の上には筋肉が付着しています。筋肉と一言で言ってもさまざまであり、肩関節であればインナーマッスルである回旋筋腱板(英語で言うとRotator Cuff:棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の総称)が靭帯・関節包を包み込むように位置しています。

なお、この回旋筋腱板の筋肉は四十肩・五十肩において疲労したりコリができていたりして上手に働くなってしまっていることが多いです。四十肩・五十肩を良くしていくために回旋筋腱板をほぐしたり、伸ばしたり、鍛えたりするなどの対応が重要になることが多いです。それぞれの筋肉のケアや鍛え方は以下の関連記事をご参照ください。
そして今ご紹介した回旋筋腱板の上にいわゆるアウターマッスルと言われるような肩関節を力強く動かす筋肉があります。

ここまででが肩関節の構造の簡単なおさらいでした。本当はもっと複雑なのですが、「へぇこんな風になっているんだ」くらいに思っていただければと思います。
肩関節と姿勢の関係性 ①肩関節の安定
さて、ここからが本題に近づいていきます(長引かせて申し訳ありません)。
先ほどご紹介した回旋筋腱板は肩関節を安定させつつ動かす縁の下の力持ち的な役割を果たす筋肉たちです。そしてそれぞれの筋肉のセルフケアのブログ記事でも書いたのですが、これらの筋肉は全て肩甲骨から上腕骨に付着しています。

このような構造上の特徴があるため、肩甲骨が不安定になっていると肩関節を安定させるこれらの筋肉の働きが悪くなってしまいます。ちなみにこのような構造をしているため、肩甲骨は肩関節の土台とも呼ばれています。
では、肩関節の土台である肩甲骨を安定させたり動かしたりする筋肉は何かというと、背骨・肋骨と肩甲骨をつなぐように付着している筋肉です。

しかし、姿勢の良し悪しに関わってくる背骨・肋骨の状態が悪いと肩甲骨の位置もずれてしまい、肩甲骨を安定させたり動かしたりする筋肉の働きも悪くなってしまいます。
さて、ここまでのおさらいをしつつ、四十肩・五十肩を発症するまでの流れをまとめると…
①悪い姿勢になる、②肩甲骨が不安定になる、③肩関節が不安定になる、④肩関節に負荷が加わり、組織が傷ついて炎症が起きる(四十肩・五十肩を発症)となります。もちろん、全ての四十肩・五十肩の方がこのような流れを辿るとは言い切れませんし確認のしようもないのですが、お一人お一人のお話を伺う限りはこのような流れが多い印象があります。
ちなみに私は幼い頃に両肩関節を脱臼しており、悪い姿勢(特に猫背)になると肩関節が不安定になって少しズレた状態(亜脱臼)になってしまいます。私は自身の体で肩関節と姿勢の関係性を感じられます。

肩関節と姿勢の関係性 ②肩関節の動き
姿勢が悪いと肩関節が安定しないというお話をしました。
もう予想がついているかもしれませんが、悪い姿勢で肩甲骨の位置がズレて不安定になったり、肩関節も不安定になっていれば肩関節の動きにも制限が出てしまいます。
例えば、前から腕をあげるバンザイの動き(運動学的に肩関節の屈曲と言います)は、体の真横に腕がある状態を0°とすると参考可動域で180°まであがります(耳の真横に腕がくる感じです)。

ただし、この屈曲0°から180°までには肩関節だけでなく、肩甲骨も動きますし、背骨・肋骨の動きも含まれています。これは極端に猫背になって腕をあげてみると強く肩関節の動きが制限されることを実感できるはずです。痛みのある方は無理のない範囲で行ってみてください。
体験していただくとお分かりになると思いますが、悪い姿勢自体が肩関節の動きを制限するため、良い姿勢の獲得は肩関節の動きを良くするためにも重要であるということです。
肩関節と姿勢の関係性 ③四十肩・五十肩は再発する
冒頭でも触れましたが、最重要事項としてお伝えしたいのは四十肩・五十肩を繰り返す人は繰り返すと言うことです。

私は最多で「3回目の五十肩になって、大学病院で手術してきました」という方を病院勤務時代に担当したことがありました。その方はやはり背骨・肋骨の動きも悪かったため、肩関節周囲へのアプローチだけでなく、姿勢の改善も含めたアプローチを行いました。
炎症を起こした肩関節周囲の組織が柔軟性を取り戻せば痛みもなく、動きも問題ないレベルにまで四十肩・五十肩は治るのですが、これまでお話をした通り、悪い姿勢だったり肩関節に負担をかけ続ける動かし方を続けていれば再度肩関節の組織が傷つき、炎症を起こして四十肩・五十肩が再発するということが起こり得ます。
つまり、良い姿勢の獲得は四十肩・五十肩の再発予防のためにも重要なのです。
【四十肩・五十肩の治し方】悪い姿勢の改善法〜猫背を中心に〜
必ずではないですが、四十肩・五十肩では猫背になっている方が多いです。
これは痛みがあってうずくるようにして猫背になっている方もいらっしゃいますが、痛みがなくなっても背骨や肋骨の動きが出ず、「もともと猫背だったのだろう」「猫背で肩に負担をかけていたのだろう」という方が多いです。
手前味噌ですが猫背改善の動画をいくつかYouTubeにアップしているのですが、今回は取り組みやすいと思われるものを中心に3つご紹介していきます。それぞれYouTubeの動画と切り抜き画像と概説を貼っておきます。
①呼吸を用いた猫背改善法
この動画でご紹介している方法で重要なのは背骨を伸ばす&肋骨を引き上げるという点です。以下の切り抜き画像で書かれているような注意点を意識しながら行ってみてください。

②100均のボールを使った背骨ほぐし&ストレッチ
100均のボールを使って背骨をほぐしていく方法とヨガでいう猫伸びのポーズ(動画のサムネイルでやっているポーズ)をご紹介しています。
100均のボールがない場合は丸めたバスタオルなどで代用が可能です。動画では腕を横に広げていますが、肩に痛みがある場合は痛みのない角度に腕を調整して行ってみてください。

また、猫伸びのポーズでは手を前方に伸ばしますが四十肩・五十肩でお悩みの方はそもそもこれをやるだけの肩の可動域がない方が多いです。手を伸ばさず、肘を肩の真下で床につけるようにして背骨を反らすようにするなど工夫をしてみるとやりやすいかもしれません。

③壁を使った猫背改善法(高強度)
壁を使った猫背改善法ですが、これまでご紹介したものと比べると運動強度が高いです。
壁に胸をつけてしゃがむだけなのですが、やってみると意外ときつく感じる方が多いと思います。私は足をかなり広げていて壁から一足分離れて行っているのですが、これは軽めの方法です。本当は足は肩幅くらいで足先と膝も壁にくっつけながらお尻を後ろに引くようにしてしゃがんでいきます。

また、手をあげて行っていますが肩の可動域が十分でない場合は横に広げたりしても良いでしょう。しかし、そもそもこの運動自体が強度が高いため、四十肩・五十肩がかなり改善してから行った方が良いでしょう。
猫背改善法は他にもあります
今回ご紹介した方法のほかにもYouTubeで猫背改善法をご紹介しています。猫背改善エクササイズとして再生リストにまとめてありますので、他の運動も知りたい方はそちらをご覧になってください(ご覧になりたい方はコチラ)。
本日のまとめ:姿勢はめちゃくちゃ重要!
今回は四十肩・五十肩の治し方をテーマにして姿勢の重要性とその改善法についてお伝えしていきました。
これまでは四十肩・五十肩においてトラブルを起こしやすい筋肉のセルフケアを中心にお伝えしてきたのですが、いくら筋肉が柔軟になっても悪い姿勢であったり、肩関節に負担をかけ続ければ四十肩・五十肩の再発の可能性が高まってしまいます。
この機会に姿勢についても見直していただき、肩関節への負担を減らす姿勢の獲得を目指してみてください!
今後も四十肩・五十肩において問題の起こしやすい筋肉を取り上げながら、その検査やセルフケアの方法をご紹介していきます。今回のブログ記事も四十肩・五十肩の改善につながれば幸いです。
神奈川県伊勢原市の整体院すいっちでは四十肩・五十肩にお悩みの方に選ばれ、施術させていただいています。ぜひ、以下の画像をタップして当院のホームページもご覧になってみてください。

五十肩になって痛みは引いてきたけど、なかなか良くならないなぁ…。本当に良くなるのかなぁ…。