【四十肩・五十肩の治し方】肩のインナーマッスルの筋トレ

肩痛子さん

うーん、五十肩でまだまだ肩が挙がらないなぁ…。痛みは良くなってきたんだけど…。

宮森

痛みが落ち着いてきたらひと段落という感じですね。ただ、五十肩でも筋トレが大切だったりもするんですよ。

肩痛子さん

え、筋トレですか?キツいのは嫌なんですけど…。

宮森

ご安心ください!今回ご紹介する筋トレは輪ゴムくらいの負荷でも十分なものなんです。まずはお話だけでも聞いていってください。

そもそも四十肩・五十肩に筋トレは必要なのか

結論から言えば、四十肩・五十肩に筋トレは必要になることが多いでしょう。

四十肩・五十肩で多い悩みと言えば、肩や二の腕の痛み(何もしなくても痛い、夜も眠れない時もあったり…)、肩が上がらない・後ろに回らないなどの可動域制限が多いです。

こういったお悩みは以前のブログ(【四十肩・五十肩】痛む場所は肩だけ?腕も痛いのはなぜ?)でもお伝えしたように、何らかのきっかけで肩関節の組織が傷つき、その傷の修復を行うべく起きる炎症が強い痛みやそれに伴う可動域制限につながり、さらに炎症後には組織がカサブタのように硬くなってしまうことによる可動域制限などが生じます。

また、炎症が起きている間は関節がずれないように(傷口がそれ以上広がらないようにするイメージで)筋肉が強く収縮し、炎症が治った後も収縮が持続してしまうことがあります。この筋肉の持続的な収縮は血行障害や神経の挟み込みなどを引き起こし、二次的・三次的な痛みや可動域制限を生じさせます。ここまでのお話は以下の関連記事にて詳しくお伝えしています。

以上のように四十肩・五十肩は病態の変化に伴って二次的・三次的な問題が積み重なり、病態が複雑化していくことが多いのですが、いずれにしても改善するまでに長期化しやすい疾患であり、可動域制限がある間は筋肉の十分な伸び縮みが行われないことになります。

これは四十肩・五十肩に限った話ではありませんが、人の体は使っていない機能は低下します。炎症や痛みによる可動域制限にしろ、二次的・三次的な問題による可動域制限にしろ、肩を動かさないでいる期間があればあるほど筋力も低下してしまいます。

肩周りの筋肉と言ってもさまざまですが、今回は肩関節を安定させ、動かす際の土台になるインナーマッスル(回旋筋腱板かいせんきんけんばん)の筋トレをご紹介していきます。四十肩・五十肩を治していく上ではほぼ必須の筋トレですので、ぜひブログ記事を読み進めながら日常のケアに取り入れていってください。

今回ご紹介するのはこれら肩のインナーマッスルの筋トレです。

インナーマッスルの筋トレの注意点

四十肩・五十肩における筋トレは痛みがある程度は落ち着いてから(炎症が治ってから)行うのが良いです。炎症がまだまだ盛んな時期に無理やりに動かしてしまうと、傷口を広げることにもなりかねません。

ご自身の方が炎症が起きている段階なのかについては、ざっくりと言えば何もしなくても痛い時期には炎症が起きていると判断できるのですが、詳しくはこちらの記事(四十肩・五十肩はそのうち治る?いつまで続く?)を読むとお分かりになると思います。参考になさってください。

また、次から具体的な筋トレ法についてお伝えしていきますが、現在の可動域内で可能な限り動かすことを意識して行ってください。現在の可動域内で目一杯動かすことで、ターゲットになる筋肉の線維が多く刺激され、筋トレの効果を上げることができます。

ご用意いただくもの

肩関節のインナーマッスルの筋トレでは一般的にゴムバンドを使用します。

セラバンド®︎の白や黄色がおすすめですが、輪ゴムやうちわなどでも良いです。

ただし、専門的なアイテムは必ずしも必要ありません。輪ゴムうちわ500mlのペットボトルでも良いです。これらのアイテムを使用して筋トレを行い、負荷が強いと感じた時は重さを除き、動きを真似するだけでも良いのでまずはやり方を確認していきましょう。

むしろ、今回鍛えていく筋肉はサイズが小さく・短い筋肉です。負荷が過剰に増えてしまうと、アウターマッスルも働きやすくなってしまいますので、負荷は少ない方が良いです。低負荷の原則に則ってやっていきましょう。

肩のインナーマッスルの筋トレ・実践編

肩関節のインナーマッスルは腕を下ろした状態から上げる動作や肩関節を回旋させる動作において働きます。肩関節は人体の中でも特に可動域が広い関節のため、肩関節を回旋させる動作はさまざまなポジションで行うことが大切になります。以下のイラストにあるように3つのポジションで行なっていきます。

肩関節の回旋はこの3つのポジションで鍛えていきます。

なお、以下の動画ではゴムバンドを使用した場合の肩のインナーマッスルの筋トレの全てのバリエーションをご紹介しています。動画の下には文章と写真で同じ内容をご紹介していきますので、お好きな方をご覧になっていただき、筋トレの参考にしてください。

棘上筋の鍛え方

右の棘上筋(水色で強調)を後方から見た図。 図はVISIBLE BODY®︎ HUMAN ANATOMY ATLASより。

棘上筋きょくじょうきん腕を下ろした状態から上げる動作をする際に肩関節を安定させるように働きます。

棘上筋の検査やケアの方法についてはこちらの記事(【四十肩・五十肩の治し方】棘上筋のほぐし方とストレッチ)をご参照ください。

棘上筋の筋トレは以下のステップに沿って行なっていきます。

STEP

棘上筋は主に肩甲骨面挙上けんこうこつめんきょじょうという動きで鍛えていきます。おおよそ斜め前に向けて上げていくイメージでOKです!

STEP

腕を下ろした状態からバンドを掴み、斜め前に向けて30°くらい上げていきます。この時、ゆっくり上げて、ゆっくり下げるのがポイントです。20〜30回を1セットとし、1日に3〜5セット行うと良いですが回数・セット数は参考までにしてください。

STEP

棘上筋の筋トレのバリエーションとして、腕を内回しにして親指を下に向けた状態で挙上する方法もあります。また、肩甲骨面挙上に限らず、前側や外側などいろんな方向で上げることで棘上筋のさまざまな線維を刺激することができます。

棘下筋・小円筋・肩甲下筋の鍛え方

棘下筋きょくかきん小円筋しょうえんきん肩甲下筋けんこうかきんは主に肩関節を回旋させる働きがあり、また、肩関節をさまざまな角度で動かす際に安定化を図るように働きます。

右の棘下筋(水色で強調)を後方から見た図。 図はVISIBLE BODY®︎ HUMAN ANATOMY ATLASより。
右の小円筋(水色で強調)を後方から見た図。 図はVISIBLE BODY®︎ HUMAN ANATOMY ATLASより。
右の肩甲下筋(水色で強調)を後方から見た図。 図はVISIBLE BODY®︎ HUMAN ANATOMY ATLASより。

それぞれの検査やケアの方法については、それぞれの関連記事をご参照ください。

肝心の筋トレは3つのポジションで鍛えていくことが大切ですので、全てご紹介します。

STEP

まずは1st Positionでの鍛え方です。

ゴムはドアノブなどに固定して行うと良いでしょう。脇をしっかりと締めて、肩関節を回すイメージを大切にしてゴムを引っ張っていきます。現在の可動域の範囲内でゆっくりと引っ張り、ゆっくりと戻すのがポイントです。20〜30回を1セットとし、1日に3〜5セット行うと良いですが回数・セット数は参考までにしてください。

STEP

次に2nd Positionでの鍛え方です。

腕を横に90°上げた状態から肩関節を回すイメージを大切にしてゴムを引っ張っていきます。現在の可動域の範囲内でゆっくりと引っ張り、ゆっくりと戻すのがポイントです。20〜30回を1セットとし、1日に3〜5セット行うと良いですが回数・セット数は参考までにしてください。

STEP

最後に3rd Positionでの鍛え方です。

腕を前に90°上げた状態から肩関節を回すイメージを大切にしてゴムを引っ張っていきます。現在の可動域の範囲内でゆっくりと引っ張り、ゆっくりと戻すのがポイントです。20〜30回を1セットとし、1日に3〜5セット行うと良いですが回数・セット数は参考までにしてください。

以上が肩のインナーマッスルの筋トレの方法です。

肩甲骨の安定も大切

今回ご紹介した肩関節の4つのインナーマッスルは全て肩甲骨から上腕骨に付着しています。

このような構造上の特徴から肩甲骨が安定していないと、インナーマッスルは効率的に働くことができません。そのため、肩甲骨もしっかりと安定させ、動かせるようにするケアも同時に行うことが大切になります(今後ブログにしていきます)。

今回の参考サイト、参考書籍

D&M 公式HP

Valerie DeLaune 著, 伊藤和憲 監訳(2015). トリガーポイント治療 セルフケアのメソッド 株式会社緑書房

本日のまとめ:四十肩・五十肩でも筋トレは大切!

今回は四十肩・五十肩の治し方をテーマにして肩関節のインナーマッスルの鍛え方をご紹介しました。

筋トレは主にある程度の痛み・可動域の改善が見られてから行うことが大切になります。また、筋トレをして筋力や筋肉量を回復させることは四十肩・五十肩の再発を防ぐ上でもとても大切になります(なぜか麻疹と同じように一度なったらならないと勘違いされる方もいらっしゃいますが、何度でも再発するのが四十肩・五十肩です)。

今後も四十肩・五十肩の治し方をご紹介していきます!今回のブログ記事も四十肩・五十肩の改善につながれば幸いです。

神奈川県伊勢原市の整体院すいっちでは四十肩・五十肩にお悩みの方に選ばれ、施術させていただいています。ぜひ、以下の画像をタップして当院のホームページもご覧になってみてください。

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