「食べてないのに太る…」|摂取カロリーが少ないのに太る理由とメカニズム

頑張ってダイエットしているのに全然痩せないんだよなぁ…。

食事量を少なくしているのに、体重がなぜか増えていく…。

こんな悩みを持つ方は少なくありません。過去に私が担当させていただいたお客様の中には、もともと痩せていたのにも関わらず、「1日にチョコチップクッキー2〜3枚しか食べていないのに、体重が80kgを超えちゃった…」という女性がいました(身長は160cm台)。

嘘のようなお話ですが、マジです。

私のお客様は極端なケースかもしれません。それに一見すると“カロリー収支の法則”に反していますので不思議に思われるかもしれません。しかし、これは単なるカロリー計算だけでは説明できない、身体の深いメカニズムが関係しています。

今回は、体重管理にお悩みの方からリクエストをいただいたので、極端な食事制限や質的栄養失調・エンプティーカロリーが重なったときに「なぜ太るのか?」というテーマについて解説していきます。

摂取カロリーが少ないのに太る背景とは?

人間の身体は、エネルギー摂取が極端に減ると、ある種の“飢餓モード”に入ります。

飢餓モード…良くも悪くも体は上手くできていて、適応しようとするのです。

これは生存本能に基づくもので、少ないエネルギーでも生命を維持しようと、消費カロリー(基礎代謝)を自動的に下げる働きが生じます。飢餓モードとは、言い換えれば“省エネ体質への変化”とも言えると思います。

極端な食事制限が続くと、食事から摂取できないエネルギーを体にある組織を分解してエネルギーを捻出します。肝臓に貯蔵したグリコーゲン(糖)のほか、筋肉や脂肪を分解します。これによって体重減少が起きますが、一方で筋肉はエネルギー消費の大きな組織なので、筋肉が減るほど「太りやすく痩せにくい」体質になります。さらに、体は「次にいつエネルギーが入ってくるか分からないぞ…」と判断し、脂肪を溜め込みやすくなります。

まとめると、極端な食事制限・摂取カロリーの低下は飢餓モード・省エネ体質を招き、その後に太りやすく痩せにくい体質に変えてしまうということです。

栄養バランスの乱れが代謝を狂わせる

さて、極端な食事制限・摂取カロリーの低下が体に与える影響について簡単にまとめました。さらに、これらは体内の化学反応である代謝を狂わせてしまいます。ここで代謝を乱してしまう状態や概念について簡単にご説明します。ちなみに代謝については過去に記事を書いておりますので、お時間があればお読みになってください。

質的栄養失調とエンプティカロリー

チョコチップクッキーなどの単一食品だけで過ごしていると、省エネ体質になったとしてもカロリーが低い上にタンパク質、ビタミン、ミネラルなどの必須栄養素が圧倒的に不足します。これが質的栄養失調です。

また似たような概念にエンプティカロリーというものがあります。これは食事による摂取カロリーは高いものの、ビタミン、ミネラル、タンパク質など、身体に必要な他の栄養素をほとんど含まない食品や飲料を指します。

「美味しいものは脂肪と糖でできている」みたいなやつです。

質的栄養失調は体の状態、エンプティカロリーは食品・飲料を指す言葉ですが、どちらも関連のある言葉・概念です。食事量は先天的・後天的(食事制限など)な要因によって個人差がありますが、いずれにしても必須栄養素の不足は代謝を乱すことになります。そして必須栄養素の不足状態が続くと往々にして省エネ体質になり、太りやすく痩せにくい体質になります。

代謝酵素の働きが低下

必須栄養素の一種であるビタミンやミネラルは、体内の代謝酵素を正常に働かせるために不可欠です(補酵素と呼ばれます)。酵素・補酵素と基質(反応を起こす物質)における代謝反応は“鍵と鍵穴”の関係に例えられます。

鍵と鍵穴の関係のイラスト。

酵素はタンパク質で、化学反応(代謝)を促進する働きを持ちます。補酵素(ビタミンやミネラル)は、酵素の働きを補助する役割を持ち、化学反応を効率的に進めるために必要な場合があります。酵素の活性部位が鍵穴に、基質が鍵にそれぞれ対応し、特定の基質が酵素の活性部位と結合して反応を進行させ、補酵素がそれを補助します。

少し難しいお話でしたが、まとめると、必須栄養素が不足すると代謝が滞り、脂肪の分解・燃焼がスムーズに行われなくなります。結果として、少ないカロリーでも脂肪が蓄積しやすくなります。

ホルモンバランスの乱れと脂肪蓄積

極端な食事制限など偏った食生活はホルモンバランスの乱れと脂肪の蓄積にもつながります。

インスリン抵抗性の悪循環

インスリンとは、膵臓という臓器から分泌されるホルモンで、血糖値を下げて筋肉や脂肪組織に糖を送り込んでエネルギー源とする作用があります。

膵臓は胃の裏側にある臓器で、消化液やホルモンを分泌します。

糖質中心の偏った食生活(例えチョコチップクッキー数枚でも)は、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる状態)を招きやすくなります。インスリン抵抗性が進むと、血糖値を下げるためにインスリンが大量に分泌され、脂肪細胞へのエネルギー蓄積が促進されます。

ストレスホルモンと内臓脂肪

極端な食事制限やストレスは、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を促進します。

コルチゾールは福神という臓器から分泌される抗ストレスホルモンです。

コルチゾールは内臓脂肪の蓄積を促進するため、少ない食事でもお腹周りが太りやすくなります。

腸内環境の悪化と太りやすさ

近年何かと話題の腸内環境ですが、食事制限や偏った食事は腸内環境にも影響を与えます。

偏った食事は腸内環境を悪化させ、エネルギー吸収効率の高い腸内細菌が増えることが分かっています。これにより、同じカロリーでもより多くのエネルギーが体内に吸収され、太りやすくなります。腸内環境は細菌の多様性が重要なため、さまざまな食品を摂ることが推奨されています。

実際の摂取カロリーの過小評価

食事量を減らしていると思っていても、無意識の間食や飲み物、調味料など“見えないカロリー”が積み重なっていることもよくあります。

伝統的な調味料の「さしすせそ」でも濃い味付けで大量に使っていたら…?

調味料を含めた食事記録は細かくし過ぎても大変ですが、一度見直すために行ってみるのも良いかもしれません。

健康的に痩せるために

個人的な経験を含めますが、健康的に痩せるためには栄養をしっかりと摂取しながら摂取カロリーを減らしていくことが肝心です。いくつかポイントをまとめました。

1. 良質な栄養素をしっかり摂る

極端なカロリー制限ではなく、タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維をバランスよく摂取しましょう。これにより筋肉量を維持し、代謝を落とさずに脂肪を減らすことができます。

また、お伝えしてきたように「少なすぎる食事」は逆効果です。基礎代謝量を下回る食事は避け、必要なエネルギーを確保しながら徐々に減量することが大切です。基礎代謝量を調べられるサイトはこちら。

2. 食事の質を高める

1.良質な栄養素をしっかり摂るにもつながりますが、食べる順番や選ぶ食材・食品によっても食事の質が変わります。

  • ベジファースト・プロテインファースト:食事の最初に野菜やタンパク質を摂ることで血糖値の急上昇を防ぎます。
  • 低GI食品を選ぶ:玄米や全粒粉パンなど、血糖値を緩やかに上げる食品を選びましょう。GI値についてはこちら(大塚製薬)。

3. 適度な運動を取り入れる

“適度”な運動です。

ウォーキングや筋トレなどの運動を習慣化することで、糖代謝が改善し、脂肪が燃えやすい体質に変わります。会話ができるくらいのウォーキングから軽く息が切れるくらいのジョギング程度だと良いでしょう。

4. ストレス管理と十分な睡眠

ストレスや睡眠不足はホルモンバランスを乱し、太りやすさを助長します。リラックスできる時間や質の良い睡眠も大切です。

まとめ

「食べていないのに太る」というカロリー収支からは考えられない現象は、単なるカロリー計算では説明できません。極端な食事制限や栄養バランスの乱れが、代謝低下・脂肪蓄積・ホルモン異常など複数のメカニズムを通じて“太りやすい体”を作ってしまうのです。そして、健康的に痩せるためには、「カロリーを減らす」よりもまずは「栄養で体を満たす」ことが最重要です。

健康的なイメージの方は極端な食事制限はしていないイメージもあるのでは…?

バランスの良い食事と適度な運動、そしてストレス管理を心がけることで、無理なくリバウンドしにくいダイエットが実現できます。

神奈川県伊勢原市の整体院すいっちではさまざまなお悩みの方に選ばれ、施術させていただいています。ぜひ、以下の画像をタップして当院のホームページもご覧になってみてください。

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