宮森大地の歩み 〜すいっち式腰痛・坐骨神経痛整体ストーリー(後編)〜

※前回まで(手術しても良くならなかった太田さんとの出会い)のお話の詳細は以下の関連記事(宮森大地の歩み 〜すいっち式腰痛・坐骨神経痛整体ストーリー(前編)〜からお読みいただけます。

腰痛・足の痺れの原因は脊柱管だけなのか?

宮森は改めて腰痛や足の痺れ(太田さんの場合は坐骨神経痛)の原因について調べてみた。

特に神経痛についての話になるが、そもそも神経痛とは体の感覚を司どる神経が何らかの原因で刺激を受け、その神経の経路に沿って生じる痛みの総称だ。

太田さんを悩ましていた神経痛は坐骨神経痛と言われるものだった。

坐骨神経は人体でも最も太くて長い神経で、腰と骨盤から出てくる神経が合流し、お尻から太ももの裏、さらにはスネやふくらはぎ、足の指先まで届く神経の束だ。

坐骨神経とその枝のイラスト。
総腓骨神経はさらに枝分かれし、スネの外側や前側にも枝を出す。

この坐骨神経の領域に痛みや痺れが出ることを坐骨神経痛という。

坐骨神経痛の大まかなイラスト。
イラストでは体の後ろ側を見ているが、この領域以外でもスネの外側や前側にも痛みや痺れが出ることがある。

ここで宮森は考えた。

「神経痛は神経が何らかの原因で刺激を受けて生じる…ということは、脊柱管の狭窄だけが原因とは限らないのでは…?」

「それに、健康な人でも正座をしていたら足が痺れるんだ。つまりは血流が悪くなって酸欠になっても神経痛のような症状が出るということでは…?」

「酸欠になって神経痛が出て、それが慢性化しているという可能性もあるのでは…?」

そこで解剖学書を取り出し、坐骨神経をじっくり眺めてみた。そして坐骨神経がどのような場所を通り、その周囲にはどのような筋肉や関節、血管があるのかを細かく確認した。

すると、坐骨神経や血管が圧迫を受けそうな部位を何ヶ所か発見した。具体的には神経や血管が筋肉の下を通る部位や、神経が枝分かれしたりして角度を急に変える膝関節や足関節のポイントだ。

こういったポイントの筋肉が硬くなれば神経や血管が圧迫を受けそうなものだし、関節の歪みでも神経や血管にストレスがかかりそうだと考えたのだ。

今になってみればそのようなポイントに目を向けるのは当然のことなのだが、当時の宮森にとっては新鮮で、そして太田さんの症状の改善をさせる可能性を感じる発見だった。

期待と不安を感じつつも、何度も何度も解剖学書を見直し、目をつけたポイントを頭に叩き込んだ。

そして再び、太田さんのリハビリの日がやってきた。

足の感覚が戻った?!

太田さんのリハビリを始める前に、少しだけオリエンテーションをした。

「本日のリハビリに向けて勉強してきて坐骨神経が圧迫を受けそうな場所を見つけました。まずは順番に筋肉をほぐしてみようと思いますが、よろしいですか?」

「勉強してきてくれてありがとう。先生、よろしくお願いします」

太田さんの了承を得て、宮森は目をつけてきたポイントを触り、ほぐしていった。今思えばお世辞にも上手とは言えない下手な施術だったが、結果は驚くべきものだった。

まず、太田さんの場合はふくらはぎの下腿三頭筋という筋肉がカチカチだった。さらにふくらはぎの外側にある腓骨筋群や足の指と指の間にある骨間筋という筋肉も硬かった。あまりにもカチカチだったので太田さんに感覚を確認しながら慎重に筋肉をほぐしてみた。

太田さんは「痛むけど、何か良くなりそうな予感がする…」と仰った。

引き続き様子を確認しながら筋肉で圧迫されているであろう坐骨神経や血管を解放するようにほぐしていった。下手くそな施術でリハビリの時間をまるまる筋肉のほぐしに使ってしまったが、終了時間になったので太田さんに確認のために立って歩いてもらった。

すると太田さんが大声を上げた。

「え?!先生、足裏の痺れが少し楽な感じがするよ!ちょっと感覚がわかりやすい!」

これが宮森が、そして太田さんが初めて手応えを感じた瞬間だった。

その後も太田さんは継続してリハビリに通っていただき、その都度「そこは効きそう」だとか「そこは違う気がする」など確認してもらいながら進めていった。

そして数ヶ月後、太田さんは見違えるくらいに良くなったのだ。

慢性的にあった腰痛や太もも裏にあった痺れはほとんど気にならなくなった。

足裏の痺れは残ったものの、地面を確認するように下を向くこともなくなった。

手術を受けても1〜2分と連続で歩けなかったが、30分は歩けるようになった。

「もう買い物くらいなら問題なくできるから本当に助かってるのよ、先生」

太田さんのリハビリを通して勉強させてもらったことで、宮森は筋肉が硬くなったり血行不良の酸欠によって出ている神経痛にお悩みの患者さんに結果が出せるようになっていた。

病院でただ一人、スカスカだった宮森の予約表も埋まるようになっていた。中には手術適応とされていた患者さんでさえ、手術が不要になるほど改善した例もあった。それだけひどい神経痛の原因が筋肉のコリや酸欠であることもある証拠だった。

とは言え、すべての腰痛や坐骨神経痛の患者さんに結果を出せていたわけではない。

腰痛や坐骨神経痛の原因がどこにあるのか、さまざまな検査を通して医師を意思疎通しながら確認をしていった。当たり前だが、腰痛や坐骨神経痛の原因が新鮮なヘルニアやひどい脊柱管狭窄症の場合は手術やブロック注射が功を奏していた。

こうして医師がアプローチできる領域と自分がアプローチできる領域とが明確になり始めた頃、宮森はまた新たな発見をする。

それは腰痛や坐骨神経痛を引き起こす、新たな原因についての発見だった。

腰痛・坐骨神経痛は内臓の不調からも生じる

突然だが、すいっち式坐骨神経痛整体では内臓への施術も行う。

宮森が内臓整体を習得したきっかけについては長くなるので別の機会に語ることになるが、内臓の不調や疲労も体の痛みや痺れといった症状として表現されることがある。

内臓の不調により現れる痛みの例。これを内臓の関連痛と言う。他のメカニズムは以下の文章で記す。

ちなみに腰痛や坐骨神経痛に関連が深い臓器で言えば、肝臓や腎臓、腸、生殖器など主に腹部にある臓器だが、結局体は全て繋がっているのでどの臓器に不調をきたしても痛みや痺れが出るに変わりはない。

内臓が原因で腰痛や坐骨神経痛を引き起こすメカニズムはいくつかある。

例えば、内臓は体の内部に収納されているが、背骨や骨盤に膜組織で付着している。これらの臓器に不調や疲労が生じると、膜組織を通して背骨や骨盤を歪ませるのだ。この歪みによっても腰痛や坐骨神経痛が生じる可能性がある。

他にも、肝臓や腎臓など血液の流入量が多い臓器が疲労すると血行不良が生じる。内臓が原因で生じた血行不良が慢性化すると酸欠が起き、腰痛や坐骨神経痛が生じる可能性があるのだ。

ちなみにこの内臓の疲労や不調とは何も病名がつくレベルまで悪い状態にならないと出ないということではない。

深酒をしたり、痛み止めの薬を飲んだりしたりして肝臓に負担をかけた翌日に、自覚があるかどうかは別だが血行不良による筋肉の硬さが腰や下半身に出ることがあるのだ(むくみという症状の方が感じやすいかもしれない)。

宮森はこれまで学んできた筋肉のコリをほぐす施術、神経と血管を開放する施術に加え、内臓への施術をリハビリを加えていくと、その結果はより良くなっていった。

この頃になると、宮森はこれまでよりも広い視野を持つようになっていた。

日常生活の大切さに気づき、新たな道へ

宮森は当時担当していた患者さんにアンケートを取り、そして病歴を見直していった。このアンケートは食事や睡眠時間、運動習慣などに関するものだ。

予感は的中した。やはり、症状が重かったり、改善の遅い人はそれなりに体に負担をかける生活習慣を持っていた。

それは運動習慣がなかったり、ついつい夜更かしをしてしまったり、食べ物に好き嫌いがあったり、栄養バランスが偏っていたりと、世間一般で言われているようなことであったが、それが何年も何十年も積み重なって体に負担をかけていることが予想できた。

「僕が内臓にアプローチして症状に変化が出たり、楽になるということは、そこに負担があるということです。内臓の負担は日常生活からくることが多いので、少しずつでも変えていきましょう」

このように患者さんに説明し、いかに日常生活が大切かを伝えていった。そして、日常生活の大切さに気づき、生活習慣を見直してくれた患者さんは改善のスピードが早い人が多かった。

しかし、改善のスピードが遅い人もいた。生活習慣を見直さない方は別として、改善のスピードが遅い人には、ある共通点があった。

それは病歴だった。

整形外科にくる患者さんは体のどこかに痛みや痺れといった症状を抱えて来院する方が大半だ。そして大抵の場合、骨や関節に多少なり変形などがあってそれが原因とされることが多い。もちろん、それらが原因で痛みや痺れが出ることがあるので、それも間違いはない。

しかし、宮森がアンケートを取った中で症状の改善が遅い方々は特に循環器、消化器、生殖器など内臓の病気を抱えていることが多かった。それも診断名がつくレベルまで悪化していたり、中には臓器の摘出手術を受けている方もいた。

内臓の不調が原因で痛みや痺れが出ることは明らかだし、それが病的なレベルまで悪化しているとすれば、症状が重いことや改善が遅いことは納得のできるものだった。

そして宮森はこんな想いを持つようになる。

「病名がつくレベルまで体が悪くなってしまうと、やはり回復までに時間もお金もかかってしまうんだな…ならば、そうなる前に何とかした方が絶対にいいはずだ」

もちろん、病院での業務もとても大切だと今でも思うし、医療従事者の方々に尊敬の念を持っている。しかし、宮森は自分が活動する場は医療機関ではないと感じた。

「ひとりでやってみるか。」

理学療法士を辞め、整体師としての独立を志した瞬間だった。

整体院すいっちを開業!

2015年5月、宮森は整体院すいっちを開業する。

整体院すいっちのロゴ。すいっちを押すことによって元気になることを表現している。

整体院すいっちの“すいっち”には、健康のスイッチを押す、と言うような、きっかけ作りという意味を込めた。

この屋号は内臓や自律神経の施術法を教えてくれた師匠が「僕はスイッチを押すだけだから」という言葉を使っていて、それを拝借した。

ちなみに“すいっち”を平仮名にしたのは退職前に担当していた患者さんに「ひらがなの方がやわらかい印象だし、先生のやさしさが出ていて良いと思う」と言われたからだ。

そして宮森は病院勤務時代に思い描いた「病名がつくレベルまで体を悪くなる前にアプローチしていく」という想いを原動力に動き出していった。

しかし、整体院にくる問い合わせではこのような言葉が多かった。

「病院に行ってるんだけど良くならなくて…」

そしてまた、思い出深いお客様が来院することになる。

車イスでやってきたお客様

ある日、「チラシを見ました、施術をお願いしたいです」と40代の手塚さんという女性の方から電話の問い合わせがあった。まだ独立して数ヶ月、予約もまだまだ空きがあったので二つ返事でその日のうちに予約を入れてもらった。

そして予約時間に現れた手塚さんはご主人に抱えられ、やっとのことで歩いてきた。よく見るとマンションのエントランスに車イスが置いてある。何とか部屋にあがってもらい、お話を伺っていった。

伺ったお話は、なかなかに衝撃的な内容だった。

手塚さんはある日、腰に違和感があったが、今までも同じようなことがあったために放っておけば大丈夫だと思っていた。しかし、腰の違和感は痛みに変わってどんどんひどくなり、悲鳴を上げるほどの激痛になった。

そして腰の激痛によって全く動けなくなり、救急車を呼び、病院に行くと腰椎椎間板ヘルニアの診断だった。その時には足も痺れ、感覚もなくなり、その頃から車イス生活になったのだという。

しかも「ヘルニアが大き過ぎて手術ができない」と8件も病院をたらい回しにされ、その間も夜中に叫ぶほどの痛みで救急車を何度も呼んだそうだ。

友人の伝手をたどって何とか探し当てたペインクリニックでブロック注射を行い、ヘルニアがほんの少し落ち着いた頃にレーザー手術を2回経験し、リハビリも行なった。しかし、それでも車イスや杖が手放せない生活が続いていた。

「こんなに辛いのなら何度命を断とうと思ったかわかりません」と手塚さんは仰った。

正直、話を聞いているこっちまで辛くなってくる想いだったが、宮森は心に決めた。

「私にできることは全て全力でやらせていただきます。ぜひ、施術をさせてください」

そして施術が始まった。

痛みで体を動かせない中での施術、そして…

聞いていた通り、手塚さんは痛みと足の痺れがひどかった。それは、ほんの少し動かしても痛みが出て顔をしかめ、「痛い!」と声が出るほどだった。

強い刺激や体を大きく動かすような施術はできないと判断し「体の内側から整えていきましょう」と、すいっち式整体の中から優しい刺激で行う内臓整体と自律神経整体を行なっていった。

すると、効果はテキメンだった。

ひどい痛みと痺れで強い薬を飲み続けていた影響で、手塚さんの内臓はかなり疲労していたようだった。特に肝臓は薬の代謝(解毒)も行う臓器なのでかなりの疲労が感じられた。

肝臓が薬の代謝(解毒)などで疲労して血流が滞ると、腰や足からの静脈も鬱滞し、血行不良によって腰痛や坐骨神経痛などが生じることがあるのだ。

そんな状態の手塚さんに対し、内臓や自律神経にアプローチをしたことで内臓が音を立てて動き出した頃に、手塚さんは「何だかリラックスして眠くなってきた…」といって入眠された。

「寝ちゃっても大丈夫です。せっかくですからゆっくりしてください。私はこのままお体を整えさせていただきます」と伝え、引き続いて触れる程度のやさしい刺激で内臓と自律神経の調整していった。

ひと通り施術が終わり、ゆっくりと体を起こしてもらうと「あれ…随分と楽です!嘘みたい!」との声をいただけた。

もちろん、長い間痛みと痺れに悩まされてきたので筋力も低下していたため、初回の施術で杖や車イスがすぐに手放せるわけではなかった。

それでも手塚さんには根気強く通院していただき、痛みが軽減してきたら筋肉のコリをほぐしたり、神経や血管を開放する施術も加えていった。

さらに、日常生活でも見直しのできることはしていただいた。

長年の薬の服用で肝臓が疲労しているため、水分摂取を多くして血液の流れを促す。新鮮な魚や野菜、穀物を中心に摂取し、良質なタンパク質や脂質、ビタミン類、ミネラル類を意識してもらった。そしてできる限り早寝早起きなど、考えてみれば当たり前のことをしていただいた。

しかし、痛みに支配されてしまうと、その当たり前のことすらできなくなってしまうのが人間なのだ。それでもできることからやっていただき、順調に回復していって半年が過ぎた頃、嬉しいご報告をいただけた。

「家族と江ノ島に行って、杖なしで頂上まで登れました!」

手塚さんと撮影させていただいた2ショット。
「歩けるようになりました」という言葉が何よりも嬉しかった。

独立をしてから辛いこともあったが宮森はこの時、独立して本当に良かったと感じた。

すいっち式腰痛・坐骨神経痛整体が最後の砦になります

整体院すいっちを開院してからも、腰痛や坐骨神経痛の方が多く訪れてくれている。

「もう何年も腰痛がひどいし、年に何回もぎっくり腰になるんだよ…」

「坐骨神経痛と言われて、お尻やら太ももやらが痺れて仕方ないんです…」

「連続で歩けるのは1〜2分がやっとで、休み休みしか歩けなくて困ってます…」

中には病院勤務時代に担当する方もより状態が悪い方もいらっしゃる。それでも宮森は臆することなく、日々、自分のミッションを遂行する。

お一人お一人の生活習慣を聞き取り、丁寧にくまなく体をチェックしていく。大抵の場合は自覚がなくても生活習慣にも問題があるし、内臓の状態も悪かったりもする。

もちろん、明らかに病院での対応が必要だと感じられた場合はすぐに病院への受診を促すことは忘れていない。医療と整体の領域はハッキリ分かれているので、鑑別の検査は必ずするようにしているのだ。

ここで冒頭の宮森の言葉を思い出してほしい。

宮森大地

「腰痛や坐骨神経痛の原因は多岐に渡るんです。もちろん、病的な状態だと現代医療の力が必要ですが、慢性化した場合は筋肉や血管、さらには自律神経や内臓が悪くなって腰痛や坐骨神経痛のような症状が出ることがあるんです。私はそこにアプローチしているだけなんです(※効果には個人差があります)」

すいっち式腰痛・坐骨神経痛整体ではお一人お一人の状態・状況を踏まえて、筋肉のコリ、圧迫を受けている血管・神経の解放、そして内臓への施術も行う。さらに、それらの効果をより引き出して安定させる自律神経系へのアプローチを加えて完成した。そして回復を早めるための日常生活のアドバイスも忘れることはない。

もちろん、これは現段階でのすいっち式腰痛・坐骨神経痛整体が完成するまでの物語だ。技術に終わりはない。まだまだ知識を深め、技術を磨き、すいっち式腰痛・坐骨神経痛整体は進化していく。

今、腰痛・坐骨神経痛にお悩みのあなたに伝えたい。

「すいっち式腰痛・坐骨神経痛整体が最後の砦になります。私にできることは全力でやらせていただきます」

どうか希望を持ってご相談ください。

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