四十肩・五十肩に効く食べ物、良い食べ物とは?

肩痛子さん

うーん…なかなか五十肩が良くならない…どうにかして痛みを解消できないものか…。

宮森

痛みがなかなか取れずに大変ですよね。ところで日頃の食事で痛みが長引いてしまうこともあるんですよ。

肩痛子さん

そんなことがあるんですか?!逆に言えば、食事を変えたら痛みが良くなったりもするってことですか?

宮森

もちろん、可能性はあります。では、今回は四十肩・五十肩に大切な食事についてお話していきますね!

何を食べるか、そして何を食べないかが大切

以前のブログでもご紹介したのですが、四十肩・五十肩は医療機関では肩関節周囲炎と診断されることが多く、名前の通り肩関節に起きる炎症を本態とする病気です。

四十肩・五十肩の炎症は何らかのきっかけで肩関節周囲の組織が傷ついてしまった後に、傷ついた組織の破壊・除去と再生・修復を行うために起きています。通常では炎症は3日〜2週間ほどとされていますが、実際にはそれ以上の期間炎症によると考えられる痛みに苦しめられている方を経験します。

実はこの炎症が長引いてしまう要因の1つに食習慣が大きく関わっていることがあります。

そして食習慣は「〇〇は食べた方が良い」という足し算の考え方「〇〇は食べない方が良い」という引き算の考え方の両方が大切になってきます。

あくまで私の経験上ですが、四十肩・五十肩の炎症が長引いて苦しんでいる方は引き算ができておらず、食べない方が良いものをかえって積極的に摂取していることが多いです。また、以前のブログでもお伝えしましたが、四十肩・五十肩の痛みは炎症による痛みに加え、炎症による痛みから筋肉が緊張してしまい、その緊張が解けなくなった筋肉の血行不良による二次的、三次的な痛みが積み重なっていることが多いです。

以上のことから、食べた方が良いものとは炎症が起きた組織の修復に必要な栄養素や筋肉の緊張をほどくために必要な栄養素を含んだ食材で、食べない方が良いものとは炎症を起こしやすくしたり、筋肉の緊張を高めやすくする食材ということにります。

また、食について考えていくと自然環境や畜産・養殖の飼育環境、穀物・野菜の栽培法なども考慮していくことが大切になってきてしまい、「あれもこれも考えなきゃダメじゃん…」とガッカリしたり、かえって悩んでしまうかもしれません。また食についてはさまざまな考え方や思想(宗教的な制約も含む)があります。

今回はそれらの肯定や否定をする意図はなく、あくまで栄養学などで言われている基本的なことを記載していきます。最後に食材・食品選びのヒントも記載していきます。

もちろん記載することを「絶対に守らなければなりません!」とは言いません。最終的なご判断はご自身のお体の中・長期的な健康状態と生活の質を比較しつつ、できることから取り組んでいってください。

食べない方が良いもの

四十肩・五十肩で食べない方が良い食材・食品は炎症を起こしやすくしたり、筋肉の緊張を高めやすくしたりするものです。また、炎症の基盤には人体の組織を脆くさせてしまう酸化反応や糖化反応があり、それらを促す食材・食品も同様に食べない方が良いでしょう。

簡単に言えば嗜好品と呼ばれるものが多いです。以下に挙げていくものは特に注意を払ってください。

甘いもの・精製された炭水化物・エナジードリンクなど

甘いものに含まれる糖類や精製された炭水化物(白米や小麦粉を使った食品)は糖が吸収しやすい形になっています。過剰に吸収された糖は体内のタンパク質とくっつきやすくなり、糖化反応(gulicationグリケーション)を進めます。糖化反応は「体のコゲつき」とも表現され、脆くなって傷つきやすくなるので炎症が起きやすくなります。血管が糖化すれば血管が細くなって血行不良にもつながりますし、血糖値の急上昇・急降下は自律神経バランスや心理面にも影響を与えるため、瞬間的な快楽を得られるかもしれませんが依存性が高く、体にも心にも良いことは1つもありません。また、最近若者を中心に人気のエナジードリンクなどには後述するカフェインに加え、糖類がかなり入っています。甘いものだけでなく、食品を買う際は成分表示をよく見るなど確認する癖がつけられると良いと思います。

長期的に考えると仮に糖尿病などに発展した場合は失明や腎臓病、手足の指の壊死(腐って切断をするケースもあります)などが起こり得ます。

糖は体のエネルギー源ではありますが、未精製の炭水化物(玄米や全粒粉の商品)などで糖の吸収がゆっくりになる形で摂取できると良いでしょう。ただし、この場合もまた別の注意点があるので後述します。

オメガ6系脂肪酸

揚げ物などに使われるサラダ油やコーン油、ごま油などはオメガ6系脂肪酸と言い、熱に強いという特性がありますが炎症を起こしやすいという特性も持ち合わせています。揚げ物などは時間が経つと酸化が進んでしまいますし、調理をする上で小麦粉なども使われるので精製された炭水化物も同時に摂取しがちです。オメガ6系脂肪酸に限らずですが、調理から時間の経過した食材・食品を摂取すると酸化反応が起きやすいです。酸化は「体のサビ付き」とも言われ、これも糖化反応と同じく組織を脆くして傷つきやすくし、炎症の基盤になります。

揚げ物を食べるのであれば出来立てを食べるようにするなど工夫をしていきましょう。

「酒は百薬の長」とも言われますが、お酒も実は糖と同じような反応を体内で起こします。

お酒は体内でエタノール(毒)→アセトアルデヒド(毒)→酢酸(無毒)という順番で形に分解されていくのですが、アセトアルデヒドという物質は二日酔いの原因でもあり、また糖と同じようにタンパク質にくっついて組織を脆くするような反応を起こします。

私は病院勤務時代、五十肩の炎症が治らず、悲鳴をあげるほどの激痛で苦しんでいるお酒好きの患者様を見たことがあります。その方は最終的には肩周りの血管が閉塞してしまい、肩の骨が壊死してしまったので人工の骨を入れる手術を受けていました。人工の骨に入れ変えると肩は90°ほど(肩と同じ高さくらい)しか上がらなくなります。お酒好きの方は注意が大切です。

その他

上記の他にも食品添加物、農薬などは体内に蓄積しやすく炎症を起こしやすくします。また一般に体に良いとされている食材・食品(例えば発酵食品など)でも、個人の体質やその時の体調によっては体に合わない場合もあります。書き始めるとキリがないのですが、明らかに体調を崩す場合(下痢や便秘、胃もたれなど)があれば、見直してみると良いかもしれません。ちなみに私は乳製品全般(ヨーグルトやチーズでも)は一定量を超えて摂取すると下痢をしやすくなるので控えています。

他にもカフェインは筋肉の緊張を高めやすくなるため、筋肉への血行不良を悪化させてしまいます。また、食べ物ではありませんがタバコは血行障害や後述する抗酸化作用のあるビタミンCを大量に消費させるため、結果的に痛みを悪化させます。控えるに越したことはありません。

食べた方が良いもの

前述しましたが食べた方が良いものは炎症を抑えたり、筋肉の緊張をほどいていく栄養素を含んだ食材・食品です。読み進めていくと「何をどれだけ食べれば良いの?」と疑問に感じると思いますが、日本において栄養素の摂取推奨量は厚生労働省が定めています。

参考サイト:厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)

こちらをタップすると厚生労働省のページに飛ぶことができます

ブログの最後には食材・食品選びのヒントを記載しますが、後述する理由から和の食材・食品を選ぶことが基本になると思います。

人体の約60%は水分とも言われますが、体内で栄養素や老廃物といった物質を運ぶのにも、栄養素を混ぜ合わせて化学反応(新陳代謝)を起こすためにも水分はとても大切です。水分が足りなければこれらのことができにくくなるので、炎症が治りにくくなったり、組織の回復が遅くなったりすることが考えられます。水分摂取が少ない方(例:1日に500mlのペットボトルも飲み干せないなど)はまず水分摂取を見直してみてください。

推奨量はさまざまな基準がありますが、最低でも1〜1.5ℓ/日が良いでしょう。もちろん、体を動かす仕事をしていたり、夏で汗をかく場合などはもっと多くなります。また、水分といってもカフェインやアルコールだと水分が出ていきやすくなるので、これらが含まれないものを選ぶようにしましょう。

タンパク質

体の構成成分で水分の次に多いのがタンパク質です。炎症が起きて組織の作り直しが起きているわけですから、作り直しに必要な材料を摂取することはとても大切です。

タンパク質はより小さなアミノ酸という物質がつなぎ合わさったものなのですが、アミノ酸のバランスを考えると植物性タンパク質よりも動物性タンパク質の方が質が良い傾向にあります(植物性は吸収効率も悪く、アミノ酸のバランスが動物性よりも良くない)。ただし、畜産・養殖の場合は育った環境や飼料などを考慮すると毒も同時に摂取しやすい傾向にあります。

また消化・吸収能力が低い方は急にたくさん食べられないかもしれません。その場合は一時的にプロテインで摂取するのも良いかもしれません。その場合はグラスフェッド(牧草で育てる飼育法)で人工甘味料がなく、ホルモン剤などを注射されていないものを選ぶと良いでしょう。

推奨量はさまざま言われていますが、ご自身の体重kgをgに直した量の1〜1.5倍を1日で摂取しましょう(例:体重60kgの人は60〜90g)。過食部あたりのタンパク質含有量はインターネットで調べると出てきます。

オメガ3系脂肪酸、EPA・DHA

オメガ6系脂肪酸と違い、炎症を抑えやすくするのがオメガ3系脂肪酸です。エゴマ油や亜麻仁油などに含まれています(オメガ6系脂肪酸が悪者というわけでなく、あくまでバランスが重要であり、現代日本人の食習慣だとオメガ6系脂肪酸の摂取量が多くなりがちです)。ただし、これらの油はオメガ6系脂肪酸よりも熱に弱く、酸化しやすいため揚げ物や焼き物などには適していません。サラダにかけるドレッシング代わりに用いると良いでしょう。

EPAやDHAは魚に豊富に含まれています。ただし、現在の自然環境を考えると魚を食べる大型の魚(日本人に好まれるマグロなど)になればなるほど海洋汚染の影響を受けていることが考えられます。小魚の方が影響が少ないことが考えられます。

ビタミン類

後述するミネラルとともに体内の新陳代謝を回すために必要です。損傷した組織の修復や筋肉の緊張をほぐすためにも必要です。

ビタミンC

痛みの減少、血管の脆弱性の改善、コラーゲン(組織をつなぎ合わせる組織)の生成、骨の形成、免疫機能の向上にも関わります。ストレスに対応する時や喫煙、アルコールの分解の時に大量に消費されるので嗜好品を嗜む方はビタミンCの需要が増大します。

柑橘系の果物や新鮮な芋類、緑黄色野菜から摂取できます。水溶性のため、洗うことで流れてしまうため煮汁なども同時に飲むことがおすすめです。

ビタミンB群

摂取した糖質やタンパク質、脂質の栄養素を代謝する作用があります。ビタミンB群が不足するとエネルギーやタンパク質の合成率が低下するため、疲労感や睡眠不足、体温の低下などさまざまな不調が生じます。

ビタミンB群は肉類(特に内臓系)、ナッツ、未精製の穀物、緑黄色野菜に含まれています。

ビタミンD

カルシウムやリンの吸収や利用に使われ、また免疫機能の正常化にも関わります。

皮膚を日光に当てることでコレステロールを原料にして生成されるので日光浴がおすすめです。食べ物では干し椎茸、魚の干物、鮭、うなぎ、鱈の肝油ドロップなどに含まれています。

ミネラル

ビタミン類と同様に体内の代謝を回すために必要です。以下にあげるミネラルのうち、どれか1つを過剰に摂取すると他のミネラルの需要が増大するのでバランスが大切です。

カルシウム

筋肉を収縮させる際に使われます。カルシウムの吸収には胃酸が必要なので、タンパク質不足の方は胃酸の分泌が少なくなりがちなのでタンパク質の摂取も意識すると良いでしょう。

魚介類、アーモンド、乳製品、ゴマ類などに含まれています。

マグネシウム

筋肉をリラックスする際に使われます。日本人のほとんどは不足しがちとも言われています。

ほとんどの食べ物に含まれていますが、にがりに豊富に含まれています。皮膚からも吸収されるのでお風呂ににがりを垂らすのもおすすめです。ただし口から大量に摂取すると腸管で吸収されずに下痢をするので注意しましょう。

カリウム

筋肉を収縮する際に使われます。脂肪分や精製された砂糖、塩分の多い食事を摂っていると不足しがちになります。

柑橘系の果物、ジャガイモ、葉野菜などに含まれています。

酸素を運ぶために使われるので、不足すると疲労、持久力の低下、貧血などにつながります。吸収効率が悪いミネラルですが、ビタミンCと同時に摂取すると効率よく吸収できます。

卵、魚、レバーなどの肉、アーモンド、全粒穀物などに含まれています。

今回の参考書籍

Valerie DeLaune 著, 伊藤和憲 監訳(2015). トリガーポイント治療 セルフケアのメソッド 株式会社緑書房

迷った時の食材・食品選びのヒント

いろいろと書いてきましたが「結局、何をどれだけ摂取すれば良いの?」と疑問に感じると思います。上述したように厚生労働省の食事摂取基準はあるものの、それを参考に計算しようとすると食事が味気ないものになってしまったりします。「〇〇を食べた方が良いから」と栄養素だけを考えすぎても良くないですし、「〇〇は食べちゃダメだから」と我慢をしすぎても良くありません。ストレスもまた筋肉のこりの形成に拍車をかける要因でもあります。

今回は抽象的な視点から食材・食品選びのヒントをお伝えします。これまでにお伝えしてきたことを念頭に置きつつも、以下のことも頭に入れて食材・食品選びのヒントにしていただければ幸いです。

身土不二

身土不二しんどふじとは「体(身)と土地(土)は切り離せない(不二)」という意味です。今や世界中の食材・食品をいつでも食べられるようになりましたが、人種によって遺伝子レベルで体に馴染みやすい食材というものがあります。純日本人であれば、やはり和の食材を基本にして選ぶと良いでしょう。できれば生まれ故郷に近い地域のものを選ぶことがオススメです。

一物全体

一物全体いちもつぜんたいとは、海外ではwhole foodホールフードという言葉で知られており食材は丸ごと食べると良いという考え方です。肉なら筋肉だけでなく脂身まで、魚なら頭から尻尾まで、野菜なら皮や葉っぱまで、お米なら玄米まで食べると言った感じです。

米に白と書いて粕と読むように、精製された炭水化物は重要なビタミンやミネラルを含んだ籾殻などを除去してしまっています。また、根菜などでも皮を残して食べることで糖類を吸収が穏やかな間接糖の形で摂取ができます。

ただし、一物全体で注意が大切なのは、穀物や野菜では農薬が残りやすかったり、肉や魚では飼料や海洋汚染による影響が脂に残りやすいという問題があります。食材の育てられ方や(有機農法かどうか、在来種の種を使っているかどうかなど)産地などにも注意を払えると良いでしょう。

これは上記2つと比べるとシンプルではないでしょうか。その時の季節にあった旬の食材は美味しいというだけでなく、栄養素が豊富という意味でも大切です。

現在は世界中の食材を季節関係なく輸入やハウス栽培などでいつでも食べられますが、それにはやはり農薬の問題や含まれる栄養価の低下といった問題が絡んできます。

自然の摂理に合わせて旬のものを選んでみるのは1番取り組みやすいと思いますので、いかがでしょうか。

迷ったら調味料を変える

食材選びが難しい場合は調味料をまず変えてみましょう。

ビタミンやミネラルの供給源となる調味料ですが、醤油でも味噌でも塩でも化学的な製法のものが多くなっています。なるべく伝統的な製法で作られた醤油や味噌、塩(岩塩なども良いです)に変えてみるのもおすすめです。

使用頻度の高い調味料を変えるだけでも普段から摂取する栄養素の質を高めることができます。

本日のまとめ:You are what you eat.

今回は四十肩・五十肩に四十肩・五十肩を速やかに改善させるための食べ物についてを考えてみました。

今回挙げた「食べない方が良いもの」とほとんどの方に共通しますが、「食べた方が良いもの」は個人個人かなり異なるため、引き算の考え方をまずは参考にしていただければ幸いです。

ブログを読んで「あれもこれも考えなきゃダメじゃん…」「好きなものが食べられない…」とかえってストレスを感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、できそうなものから試していただき、お体の反応を確かめつつ、ご自身の健康と生活の質を比較しながら取り組んでいっていただけたらと思います。

海外では「You are what you eat.(あなたはあなたの食べたものでできている)」という言葉があります。現在の体の状況は食事による影響が大きく出ていますので、この機会が見直しのきっかけになれば幸いです。

神奈川県伊勢原市の整体院すいっちでは四十肩・五十肩にお悩みの方に選ばれ、施術させていただいています。ぜひ、以下の画像をタップして当院のホームページもご覧になってみてください。

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