四十肩・五十肩の基礎知識となりやすい人の特徴

四十肩・五十肩とは何か?

四十肩・五十肩とは、一般に肩や腕に痛みや肩関節の可動域制限を生じる疾患を言います。

一般には四十肩・五十肩と呼ばれますが、医学的に正式な名称ではありません。少なくとも江戸時代から呼ばれている俗語であり、好発年齢からそう呼ばれているようです(後述)。病院で医師の診察の結果として下される診断名としては肩関節周囲炎が多いです。診断名の通り、肩関節周囲炎症が起きている状態です。

話は少し脇道に逸れますが、四十肩・五十肩と同じように肩や腕に痛みと可動域制限を生じる肩関節の関連疾患として以下のものが挙げられます。

肩関節周囲炎の関連疾患

  • 腱板損傷
  • 腱板断裂
  • 石灰沈着性腱板炎
  • 上腕二頭筋腱炎
  • 変形性肩関節症

これらの疾患はレントゲンなどの画像検査や理学検査(医師が手で触れて行う検査)などで明らかな異常が認められた場合に診断名がつけられることが多いです。

このような肩関節周囲の痛みや可動域制限の原因が明らかな疾患の場合は、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)には含まず、しっかりと鑑別するケースもあるようです。しかし、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)と診断がくだっていても筋肉の損傷が著しい場合や肩関節内の石灰化が認められる場合もあります。つまり、どの診断名をくだすかは医師によりけりということです。

以上のことをまとめると四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)とは…

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)とは
  • 肩や腕に痛み、可動域制限が認められる
  • 発症年齢が40歳、もしくは50歳以降
  • 痛みや可動域制限に明確な原因(石灰化など)が認められない

概ねこれら条件を満たした場合に、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)とされるようです。

ところでこの記事の冒頭で「四十肩・五十肩はその好発年齢からくる」と書きましたが、誰でも発症するわけではありません。全く発症しない人もいる一方で、右肩も左肩も発症する人もいれば、時には両肩いっぺんに発症する人も、また2度、3度と繰り返す人もいらっしゃいます(私の母親は2回発症していました)。

どうやら四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)には発症しやすい人とその傾向があるようです。これについては以下の【豆知識】四十肩・五十肩の語源を挟んだ後にお伝えします。


【豆知識】四十肩・五十肩の語源

豆知識的なお話をはさみますと、五十肩の語源は少なくとも江戸時代にまで遡ります。当時の俗語や方言、ことわざを集めた言わば国語辞典である俚言集覧りげんしゅうらんに次のような記載があることがわかっています。

「凡、人五十歳ばかりの時、手腕、関節痛む事あり、程過ぎれば薬せずして癒ゆるものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう。また長命病という。」

これが書かれた江戸時代のことを考えれば「長生きもすれば肩や腕も痛くなるだろう。放っておけば良くなるもんだ」といったニュアンスだったのかもしれません。また、文章から「放っておけば良くなる」というニュアンスも読み取れます。実際のところ1年、2年、3年と放っておいても良くなっていない方も担当してきた身としてはあまり無責任なことは言ってほしくないのですが、四十肩・五十肩に対する認識は江戸時代から変わっていないようです。

ところで“五十腕”とも呼ばれていたことから腕の痛みについても言及しています。実際、四十肩・五十肩にお悩みの方の中には二の腕や前腕(肘から先)の痛みを訴えられる方もいらっしゃいます(これらについても後々ブログ記事にしていく予定です)。

ちなみに四十肩の語源についてはハッキリしていないようなので、江戸時代から五十肩と呼ばれていたことから「40代で発症したから四十肩とでも読んでおこう」となったのかもしれません。と呼ばれるようになったと思われます。

さて、豆知識を挟んだところで四十肩・五十肩になりやすい人の特徴についてもお伝えしていきます。


四十肩・五十肩になりやすい人の特徴

さて、四十肩・五十肩の正式な診断名としては肩関節周囲炎が多いとお伝えしました。

つまり、肩関節周囲の炎症がこの病気の本態になります。

あまり話が複雑になってもわかりにくくなってしまいますが、炎症(または炎症反応)について簡単にまとめます。

炎症反応とは

  • ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入した際に起きる免疫反応
  • 擦り傷や打撲・捻挫など、体の組織が損傷した際に起きる組織の修復過程で起きる反応

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)の場合の炎症とは、肩周りの組織が傷ついてしまい、それを修復するための反応と言えます。

このことからつまり、肩周辺の組織が傷ついている人や炎症が起きやすい人が五十肩になりやすいと言えます。

事実、40代・50代以降では肩関節のインナーマッスル(回旋筋腱板かいせんきんけんばん)は加齢とともに弱化してきて傷つきやすくなっている、もしくは症状がなくてもインナーマッスルが部分的に断裂していることが報告されています(無症候性腱板断裂むしょうこうせいけんばんだんれつ)。

参考:金沢病院 腱板損傷(腱板断裂)のリハビリから手術まで

しかし、こういった加齢による影響だけでなく、より中長期的な視点を考慮すると栄養学的な視点も重要だと私は考えています。例えば、以下のような食品・食材は体内で炎症を起こしやすくすることが知られています。

炎症を起こしやすくする食品・食材

❶白米・小麦粉など精製された炭水化物(白いもの)

❷甘いもの(分子の小さい糖類・糖質)

❸揚げ物(過酸化脂質)

❹お酒

❺食品添加物

このように書くと「食べられるものがなっちゃう!」「食事やお酒の楽しみを奪うなんて人でなし!」と時より言われるのですが、現在のところ炎症を起こしやすくするという点では事実なので仕方がありません。いくつか例を挙げて触れていきます。

例えば、分子が小さくなって吸収されやすい形になった精製された炭水化物や甘いものは胃や腸で消化され、糖として吸収されます。この糖はとても反応性が高い物質であり、体内のタンパク質や脂質と結合して糖化反応とうかはんのう(グリケーション)というものを起こします。

糖化反応が起きた組織は簡単に言うと脆くなります。

つまり、肩関節まわりの組織が糖化することでも組織の強度が落ちてしまうので、若い頃は何でもなかったことでも組織が傷ついてしまい、炎症を起こす下地もきっかけも作られるということです。

また、糖化反応が血管で起きれば動脈硬化にもつながりますので血流が悪くなったりします。血流が悪くなることで組織の代謝能力(物質の入れ替わり)が落ちますので、このことからも組織も脆くなりやすくなり、負のスパイラルがこのことからも起きます。

また、お酒は飲むと代謝されますが、その過程で二日酔いの原因になるアセトアルデヒドという物質ができます。このアセトアルデヒドも反応性が高い物質で、糖化反応と同じようなことを起こします。そのため、お酒好きの人も四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)には注意が必要です(肩関節に限らず全身の炎症に注意です)。

このようなことは過去にYouTubeでもお話をしておりますので、お時間がある方は参考までにご覧ください。

【動画】糖質の害

【動画】お酒の害

ここまで整体師としての意見を書いてきましたが「甘いものも揚げ物もお酒も全部制限しましょう!」とは言いたい訳ではありません(もちろん、控えられれば良いとは思います)。とは言え、過剰になってしまうと健康が損なわれることはどうやら現代の科学においては事実なようなので、ご自身の生活の質と健康のバランスを考えながらうまく付き合っていただけたらと思います。


まとめ

今回は四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)の基礎知識や語源、そして発症しやすい人の特徴についてを記事にしてきました。

まだまだお伝えしたいことは山ほどありますので今後も追々記事を書いていきますが、今回の内容は四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)を改善する上での基礎知識にもなりますので、ぜひ覚えておいていただければ幸いです。

また、当院では四十肩・五十肩にお悩みの方を多く施術させていただいております。当院のホームページは以下の画像をタップしますとご覧いただけます。

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