四十肩・五十肩の夜間痛対策 〜痛みで眠れない時の寝方のコツ①〜

肩痛子さん

肩が痛いなぁ…。五十肩になってから、夜に寝返りのたびに痛みで起きてしまって寝不足が続いてる…。やっと眠れても朝方に痛みで起きちゃうんだよなぁ…。

宮森

どうやら五十肩の夜間痛やかんつうでお困りのようですね。眠る時に何か工夫などされていますか?

肩痛子さん

え、何もしてないです!眠れるようになる工夫ってあるんですか?

宮森

寝ている時の肩のポジションを変えることで痛みが軽減できて眠れるようになることもあります。では今回は夜間痛の原因と対策について簡単にお伝えしていきますね。

夜間痛の原因はさまざまある

冒頭の会話劇のように、五十肩において「痛みで夜眠れない、途中で起きてしまう」「朝方になると痛みで目が覚める」といったお悩みは多いです。

これらは夜間痛やかんつうと呼ばれ、睡眠不足にもつながり、深いお悩みの1つとして挙げられます。

夜間痛の原因ははさまざまあり、大抵の場合はさまざまな原因が重複していることが多いと考えられています。今回のブログではなるべく専門用語を使わずに簡単にまとめ、そして対処法もお伝えしていきます。夜間痛にお悩みの方が少しでも解消されれば幸いです。

なお、手前味噌ですがYouTubeでも夜間痛の対策はお伝えしております。ブログ内でも動画の切り抜き画像を使って対処法をお伝えしますが、以下の動画もぜひ参考になさってください。

夜間痛の原因 ①炎症

そもそも五十肩は肩関節周囲の組織が炎症を起こす病気です。

肩関節には筋肉のほかにもたくさんの組織(骨、関節を保護する靭帯・関節包、筋肉に指示を与えたり関節の状態を把握する神経)があり、それら組織間の滑りを良くする役割を担う滑液包もあります。

五十肩においては滑液包や靭帯、筋肉などに炎症が起きてしまいます。

炎症はそれ自体が痛みを引き起こしてしまうので、特に痛みのピークである炎症期では痛みをゼロにすることはむずかしいことがあります。

炎症を必要以上に長引かせないためにも、就寝時には肩に負担をかけないような姿勢を取る工夫が大切になってきます。具体的な方法は後述します。

なお、五十肩についての基礎知識や病気の分類は以下の関連記事をご覧いただきますと予備知識が増え、より夜間痛への理解も深まると思います。

夜間痛の原因 ②組織の硬化

炎症が落ち着いてくる拘縮期になってくると、炎症を起こした組織が硬くなって組織の柔軟性が低下してしまいます(カサブタのようなものができると思ってください)。

つまり、就寝時の姿勢によっては寝ている間にも硬化した組織が伸ばされてしまい、伸ばされた組織から痛みが生じていることがあります。

そのため、柔軟性が低下した組織が伸びすぎないようにする姿勢を取ることが夜間痛対策になります。

夜間痛の原因 ③筋肉の緊張

原因①②による痛みがあれば、今度は筋肉が緊張してしまいます。

つまり、力が入りっぱなしになっているので筋肉の柔軟性も低下しますし、また血行不良も起きやすくなります。

柔軟性が低下した筋肉が伸ばされることでも、血行不良によっても痛みが出ますので、この観点でも就寝時の姿勢の工夫が大切になってきます。

夜間痛の原因 ④骨の血流

肩関節周囲の筋肉が緊張してくると、肩の骨(正確には二の腕の骨である上腕骨)に出入りする血管が圧迫を受けてしまいます。

酸素や栄養素を送る動脈は太いホースのように弾力があるため、圧迫されても血液が流れていきます。しかし、二酸化炭素や老廃物を戻す静脈は動脈と比べると細いホースのように弾力性が低いため、圧迫を受けると鬱滞しやすくなります。

筋肉の緊張によって血管が圧迫されると静脈の戻りが悪くなり、骨の中で血液が溜まりこんでしまうことで内圧が上昇し、夜間痛を生じてしまいます。

いずれにしても、筋肉の緊張を緩めて血行を改善するような就寝時の姿勢の工夫が大事になってきます。

夜間痛の原因 ⑤神経の圧迫

人体において血管と神経は基本的に同じような走行をします。

つまり、④でお伝えしたように血管が圧迫されるところでは神経も圧迫されることも多いです。

神経は体中の組織の状態を脳に伝える働きがありますので、神経の圧迫自体が痛みとして感じられることがあります(部位は異なりますが坐骨神経痛などが有名ですね)。

夜間痛の原因 ⑥自律神経の問題

自律神経とはリラックスするときに働く副交感神経と、興奮状態のときに働く交感神経に分けられ、これらは自動的に心身を調整する神経です。

就寝時から起床時にかけては体をリラックスさせる副交感神経優位の状態から、体を覚醒させる交感神経優位の状態に移行していきます。

この自律神経の働きによって血流に変化が生じます。

これまでお伝えした夜間痛の原因①〜⑤のような原因が重なっていたり生活リズムに狂いが生じたりしていると、自律神経の働きが入れかわり始める明け方に血流の問題が強く出て夜間痛(特に明け方の痛み)が生じると考えられます。

夜間痛の対策法

さて、ここまで夜間痛の原因をお伝えしてきました。なかなか複雑ですが、すぐにやれる夜間痛の対策は割とシンプルです。

続いて夜間痛を避けるための対策法についてお伝えします。

夜間痛対策① 仰向けは二の腕を下から支えて内回しに

あお向けで寝る場合は二の腕の下にバスタオルなどを敷いて肩関節から肘がまっすぐか、肩関節よりも少し肘が高い状態になるように調整します。また、二の腕は外向きになると柔軟性の低下した組織が伸ばされて痛みが出ることが多いため、お腹の上に手のひらがくるように内回しにすると良いでしょう。

個人のお体の状態や体格によってもバスタオルの厚みは異なるので、いろいろとお試しいただいて1番落ち着きそうなポジションを探してみてください。

夜間痛対策② 横向きは分厚い抱き枕がおすすめ

横向きで寝る場合は痛い方を上側にするのが良いでしょう。ただし、この時も上側になった腕を体の前側に下ろしてしまうと筋肉が緊張し、血管や神経を圧迫してしまうポジションになりやすいです(同じような理由で痛みのある方を下にすると筋肉・血管・神経を圧迫して痛みが出やすくなることが考えられます)。

そのため、バスタオルをたくさん丸めたものや抱き枕のようなもので上側の腕が下にいきすぎないようにしたポジションが良いと考えられます。

これも個人のお体の状態や体格によってもバスタオルの厚みは異なるので、いろいろとお試しいただいて1番落ち着きそうなポジションを探してみてください。

夜間痛対策③ 二の腕にバスタオルをゆるめに巻く

対策①②とお伝えしましたが「どうにかこうにかして寝ていると寝返りをした時に痛みで起きてしまう…」というお悩みもお聞きします(当たり前ですが大抵の人は寝ている時に寝返りをするのです)。

対策①②をしていても自動的に良いポジションに体を持っていけたり自動的に抱き枕を抱えられれば良いですが、そう都合の良いことは起きないことの方が多いでしょう。

そんな時は二の腕にバスタオルをゆるめに巻き、外れないようにゆるめに輪ゴムで留めておくと対策①②に近いことができます。

上記画像および下記動画では水泳教室で使うような二の腕の浮袋(アームリング)を使用する方法をご紹介していますが、私は以前に大人用を探したところ見つからず、子ども用では窮屈で痛みが出そうなのでバスタオルで代用すると良いと思います。

以上が今回お伝えするすぐにできる五十肩の夜間痛対策です。

参考書籍

工藤慎太郎, 運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学, 医学書員, 2012年.

本日のまとめ

今回は夜間痛の原因と対策をお伝えしてきました。

今回の記事でお伝えしたように五十肩の夜間痛の原因はさまざまで、大抵の場合は原因が重複していることが考えられます。また、炎症が強く起きている炎症期では痛みをゼロにすることが難しいこともありますし、炎症が治った後の拘縮期・回復期では柔軟性の低下した筋肉や周辺組織をしっかりと回復させないと血行不良や神経の圧迫による痛みが継続することがあります。

炎症期・拘縮期・慢性期など五十肩の病気分類は以下の記事をご覧ください。

今回ご紹介した夜間痛対策に加え、筋肉や周辺組織の柔軟性を回復させるアプローチが大切になってきます。

伊勢原市の整体院すいっちでは四十肩・五十肩にお悩みの方に選ばれ、施術させていただいています。ぜひ、以下の画像をタップして当院のホームページもご覧になってみてください。

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