
そう言えば運動前と運動後でやり方に違いはあるの?
こんな疑問をお持ちの方、多いのではないでしょうか。私もこのようなご質問を本当によくいただきます。実際、ストレッチに関する情報は溢れていますが、「具体的にどうすればいいの?」という部分がはっきりしないことが多いと思います。
今回は整体師目線で、私がよく聞くストレッチに関する疑問・質問に対する回答を科学的根拠に基づいて分かりやすく解説していきます。なお、あくまで一般論をベースとし、私なりに「分かりやすく」を意識してまとめたため、造詣の深い方や医療従事者の方からはツッコミ所もあるかとは思いますが、どうか広い心で読み進めていただければ幸いです。
もくじ
ストレッチの最適な時間とは?
結論から申し上げますと、ストレッチの時間は15〜30秒でも効果を実感できます。
「え、それだけ?」と驚かれるかもしれませんが、最新の研究では15〜30秒のストレッチでも以下のことが明らかになっています。

これを踏まえると、「長時間行うと逆効果なの?」という疑問が生じると思います。実際、60秒以上などの長時間のストレッチでは以下のことが明らかになっています。
ただし、これも使い方と目的によります。ストレッチは目的に合わせたやり方・時間の組み合わせが重要です。このあと少しずつお伝えしてきます。
頻度とセット数の目安
これまでの内容を踏まえますと、まずは以下のような頻度とセット数をおすすめします。
- 1回あたり:15〜30秒
- セット数:2〜4セット
- 1日の頻度:3〜6回
- 週の頻度:毎日が理想(最低でも週3-4回)
「そんなにたくさんやるの?」と思われるかもしれませんが、実際のところストレッチの効果は一時的なものです。何よりも継続することで、徐々に体が変化していきます。
ストレッチの種類を理解しよう
一口に「ストレッチ」と言っても、実はいくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解することで、目的に応じた使い分けができるようになります。
1. 静的ストレッチ(Static Stretching)
静的ストレッチは筋肉を伸ばした状態でじっと保持するストレッチです。一般的に「ストレッチ」と言えばこれをイメージする方が多いでしょう。この効果は:
- 柔軟性の向上
- リラクゼーション効果
- 筋肉の緊張緩和
そして静的ストレッチの基本的なやり方は:
- ゆっくりと筋肉を伸ばし反動をつけない
- 痛みを感じない「痛気持ちいい」程度で保持する
- 15〜30秒間静止する

2. 動的ストレッチ(Dynamic Stretching)
筋肉を伸ばした状態で保持する静的ストレッチに対し、関節を動かしながら筋肉を伸ばすのが動的ストレッチです。運動前の準備体操やラジオ体操のような動きをイメージしていただくと分かりやすいでしょう。この効果は:
- ウォームアップ効果
- 神経系の活性化
- 筋温の上昇
そして動的ストレッチの基本的な方法は:
- 無理のない範囲で関節を大きく動かす
- リズミカルに10〜15回程度行う
- 徐々に可動域を広げていく

3. PNFストレッチ
筋肉の収縮と弛緩を組み合わせた高度なストレッチ方法です。基本的にパートナーが必要で、理学療法士さんなどが行う専門的な技術ですが、簡易版なら自分でも可能です。この効果は:
- 最大限の可動域向上
- 短期間での柔軟性改善
そして自分でできるPNFストレッチの簡易的な方法は:
- 伸ばしたい筋肉を軽く収縮させる(5秒程度)
- 力を抜いてリラックス
- そこから筋肉のストレッチを行う
ただし、伸ばしたい筋肉の作用を知っていないと正しく収縮・ストレッチができません。ある程度の解剖学的な知識も必要になります。

ストレッチ効果はどれくらい続く?持続時間と上手な活用法

ストレッチのやり方や種類は分かったけど、じゃあその効果はどれくらい続くの?
こんな疑問もあることでしょう。結論から言うと、ストレッチの持続時間は種類や目的、そして過ごし方によって違いがあります。ここでは代表的な静的ストレッチ・動的ストレッチについてまとめます。
静的ストレッチの持続時間と使い方
- 柔軟性(関節可動域)の向上効果:
ストレッチをした直後に最大効果を感じ、その後、5〜10分程度で徐々に元に戻ります。ゆっくり伸ばして「だいぶほぐれた〜」と感じても、その効果は意外と短いのです。
- 筋出力低下のリスク:
60秒以上長く伸ばした場合は筋肉の力が10〜30%下がる現象があり、この低下は20〜30分ほどで元に戻ると言われています。このことから、運動前には長時間の静的ストレッチを避けるか、終了後に動的な運動を加える(軽いジョギングなど)ことでパフォーマンス低下を防げます。
- 日常生活やメンテナンスとして:
可動域をキープしたいなら1〜2時間ごと、もしくは1日3〜6回のこまめなストレッチが良いとされています。特にデスクワークなど「固まりやすい」方は、意識的にストレッチを行うタイミングを作れると良いでしょう。
動的ストレッチの持続時間と使い方
- ウォームアップ効果:
温め効果や神経系の活性化は、ストレッチ後15〜20分程度有効とされています。運動やトレーニング前には本番直前に行うのが最適です。
- パフォーマンスピークの維持:
上記の通り、まさに動きたい時の10〜15分以内に取り入れると走る・跳ぶなどの動作パフォーマンスが最大化しやすいです。複数セットの運動間にも短く入れるとベターでしょう。
タイミング別!いつ・どんなストレッチをすればいい?
これまでお伝えしたストレッチの種類(静的ストレッチ・動的ストレッチ)とその方法、持続時間を踏まえ、いつ・どのようなストレッチをすれば良いか目安としてまとめておきます。
起床時:1日のスタートに
- 目的:筋肉の目覚め、血流改善
- 種類:軽い動的ストレッチ + 短時間の静的ストレッチ
- 時間:5〜10分程度
朝は筋肉がまだ硬い状態なので、無理は禁物です。「体を起こしてあげる」くらいの気持ちで行いましょう。

運動前:パフォーマンスアップのために
- 目的:ウォームアップ、ケガ予防
- 種類:動的ストレッチ中心
- 避けるストレッチ:60秒以上など長時間の静的ストレッチ(静的ストレッチ直後〜30分ほどはパフォーマンスが低下するため)
- 時間:運動前10〜15分ほど
取り組む運動・スポーツに合わせた部位をストレッチすると良いでしょう。走るのであれば下半身(特に股関節周辺)や、野球では肩周りなどです。

運動後:疲労回復とメンテナンスに
- 目的:疲労回復、柔軟性向上、リラクゼーション
- 種類:静的ストレッチ中心
- 時間:15〜30秒 × 各部位2〜4セット
運動後の筋肉は温まっているので、静的ストレッチの効果が出やすい時間帯です。しっかりと時間をかけて行いましょう。

就寝前:質の良い睡眠のために
- 目的:リラクゼーション、副交感神経の活性化
- 推奨:軽い静的ストレッチ
- 時間:10〜15分程度
就寝前の激しい運動やストレッチは逆に交感神経を活性化してしまい、睡眠の質を下げる可能性があります。あくまで「リラックス」を意識してゆったりとした静的ストレッチを行いましょう。

仕事の合間:コリや疲労の解消に
- 目的:血流改善、コリの解消、気分転換
- 種類:簡単な動的ストレッチ + 部分的な静的ストレッチ
- 時間:2〜3分程度
デスクワークが多い方は、30分〜1時間に1回程度、簡単なストレッチを取り入れることをお勧めします。

猫背改善の新常識!ストレッチだけでは不十分な理由

猫背を治したいんです。どんなストレッチをすればいいですか?
これは私に限らず、整体師や専門家であればよく受ける質問の一つです。実際、多くの方が自分で調べたりなどしてストレッチやエクササイズに熱心に取り組まれているのですが、「やってるのになかなか改善しない」というお悩みもよく伺います。
実はこれ、当然のことなんです。なぜなら、姿勢改善にはストレッチ・エクササイズだけでなく、「正しい姿勢パターンの意識づけ」が同じか、それ以上に重要だからです。
なぜ「意識づけ」が必要なのか?
猫背は単なる筋肉の問題ではありません。脳が「間違った姿勢パターン」を正常と学習してしまった状態と言えます。簡単に言えば、猫背がクセになっていると言うことです。
例えば、いくらストレッチで筋肉を柔らかくしても、デスクワーク中に猫背に戻っていれば効果は相殺されてしまいます。

3段階の統合アプローチ
効果的な猫背改善には、以下の3段階が必要です:
Step 1:体の準備(反対方向ストレッチ&エクササイズ)
まずは日常のクセ姿勢を分析し、「縮んだ筋肉を伸ばし」「伸びた筋肉を鍛える」ことから始めます。
- 両手を肩の高さでドアフレームに当て、片足を前に出す
- 胸をゆっくり前に押し出し、15-30秒キープ×2セット
- セラバンド(なければタオルでも可)を胸の前で引く
- 肩甲骨を寄せるイメージで10-15回×2セット
Step 2:正しい姿勢パターンの学習
体の準備ができたら、次は正しい姿勢を意識的に練習します。
- 壁に背中をつけて立つ
- 後頭部、肩甲骨、お尻、かかとが壁につく状態をキープ
- この感覚を覚え込ませる(1日3回×30秒程度)

- 横向きの姿勢を鏡でチェック
- 耳、肩、腰、膝、くるぶしが一直線になっているか確認
壁を使わないでも良い姿勢を取れるようになりましょう。
Step 3:日常動作への統合
最も重要なのがこの段階です。日常生活の中で正しい姿勢を維持する意識を育てていきます。
- スマホのタイマーを設定
- アラームが鳴ったら必ず姿勢をチェック・修正
- 信号待ちの時
- エレベーターに乗った時
- トイレに立った時
など、日常の特定のタイミングで意識的に姿勢を確認しましょう。
- モニターの高さ調整(目線がやや下向きになる程度)
- 椅子の背もたれを活用
- デスクとの距離を適切に保つ
「継続のコツ」は完璧を求めないこと
姿勢の意識づけで大切なのは、完璧を求めすぎないことです。
「常に良い姿勢でいなければ」と思うとストレスになってしまいます。まずは「気づいたら直す」程度から始めて、徐々に意識する頻度を上げていけば大丈夫です。 また、一般に言う良い姿勢も1つの姿勢に過ぎません。その場その場に合わせたさまざまな姿勢をとれることが理想だと私は考えます。
とはいえ、「ストレッチをやってるのに改善しない」という方は、ぜひ「意識づけ」の要素も取り入れてみてください。きっと新たな変化を感じられるはずです。
よくあるご質問
ここからはよくある質問に対する回答をご紹介します。これまでの復習代わりにもお読みください。

- Nakamura M, Yoshida R, Sato S, et al. The acute and prolonged effects of 20-s static stretching on muscle strength and shear elastic modulus. Eur J Appl Physiol. 2020;120(6):1474-1482.
https://doi.org/10.1007/s00421-020-04381-w - Kwak CJ, Lee YS. Optimal duration of stretching exercise in patients with chronic myofascial pain syndrome: a randomized controlled trial. J Rehabil Med. 2021;53(2):jrm00157.
https://doi.org/10.2340/16501977-2781 - Arntz F, Markov A, Behm DG, et al. Revisiting the stretch-induced force deficit: A systematic review with multilevel meta-analysis of acute effects. Scand J Med Sci Sports. 2024;34(5):e14366.
https://doi.org/10.1111/sms.14366 - Harvey LA, Katalinic OM, Herbert RD, et al. Factors that influence the efficacy of stretching programs for patients with hypomobility. Physiother Theory Pract. 2011;27(8):541-559.
https://doi.org/10.3109/09593985.2010.533745 - Konrad A, Nakamura M, Paternoster FK, et al. The time course of muscle-tendon properties and function responses of a five-minute static stretching exercise. Eur J Sport Sci. 2019;19(10):1305-1313.
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https://doi.org/10.1589/jpts.29.596 - Villafañe JH, Pillastrini P, Borboni A. Manual therapy and neurodynamic mobilization in patients with peroneal nerve paralysis: an exploratory study. J Chiropr Med. 2013;12(3):176-181.
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https://doi.org/10.3109/09593985.2010.533745
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今回はストレッチについてさまざまな角度でお伝えしてきました。また、派生して猫背を例に姿勢改善のポイントもお伝えしてきました。以前、姿勢に関する記事や座り方に関する記事も書いております。ぜひ、以下の関連記事もお読みいただけたらと思います。
まとめ:効果的なストレッチのポイント
今回は、ストレッチの疑問について様々な角度から解説させていただきました。重要なポイントのおさらいしていきましょう。
- 時間:15〜30秒ほどでも十分。長すぎると運動前などでは逆効果の場合もあります。
- 種類:目的に応じて使い分けが重要です。運動前は動的ストレッチ、運動後は静的ストレッチがおすすめです。
- タイミング:いつでも良いですが、目的を明確にして種類と時間を選びましょう。何よりも継続いて行っていくことが最も重要です。
- 効果の持続時間:静的ストレッチの効果は5〜10分程度、動的ストレッチは15〜20分程度。こまめに行うことが効果的です。
ストレッチは手軽にできる健康法ですが、正しい知識を持って行うことで、その効果を最大限に引き出すことができます。なお、慢性的な痛みやしびれ、著しい可動域制限などでお悩みの場合は、自己判断せず医療機関や信頼できる整体院での相談をお勧めします。個人の状態に応じたより専門的なアドバイスを受けることが大切です。
神奈川県伊勢原市の整体院すいっちでは、このような医学的根拠と臨床経験の両方に基づいたアドバイスとともに、お客様一人ひとりに合った施術やセルフケアを提供しています。お体の不調でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。ぜひ、以下の画像をタップして当院のホームページもご覧になってみてください。





















ストレッチって結局どのくらいやればいいの?