まずはお客様より実際にいただいたLINEをご覧ください。

いろいろと症状をお聞きして、医療機関での受診をお勧めしました。その結果、この方は適切な治療を受けることができました(尿管結石という診断だったとのことです)。今回は腰痛ということで私に相談していただきましたが、このような医療機関への受診がすぐに必要なケースは決して珍しくないと感じます。

なんか手が上手に動かないと思ったら…実は頭の手術がすぐに必要でした…。
上記の吹き出しは実際に私が担当させていただいたお客様に実際に起きた出来事です。このようなすぐに医療機関での治療が必要な状態かどうかをある程度判断できる知識はとても重要です。
そして、その判断基準としてレッドフラッグサインと呼ばれるものがあります。そこで今回は、緊急性の高い病態を表すサインとその重要性についてお伝えしていきます。
なお、本記事は一般的な健康情報の提供のみを目的とし、医学的診断・治療・医療相談に代わるものではありません。症状がある場合は必ず医師の診察を受けてください。当院は診断行為は行いませんし、行えません。
もくじ
レッドフラッグサインとは何か?
レッドフラッグサインとは、重大な疾患や生命に関わる状態の可能性を示す警告的な症状や徴候のことです。医療現場では、これらのサインを見逃さないことが極めて重要とされています。

元々は1980年代に腰痛診療で使われ始めた概念でしたが、現在では頭痛、胸部痛、腹痛など様々な症状に対して体系化されています。これを知っているかどうかは、文字通り、命に関わるケースもあります。私も以前に腰痛のレッドフラッグサインについては記事にしました。
とは言え、医学的知識のない一般の方にとって、すべてのレッドフラッグサインを覚えるのは現実的ではありません。しかし、各部位・各症状のレッドフラッグサインにある程度共通する項目があります。
そこで今回は、私が日頃からお客様に「これがあったらすぐに病院へ」という3つのシンプルな判断基準をお伝えします。その後に、より詳しい各部位・各症状のレッドフラッグサインについて解説していきます。
緊急受診の3つのシンプル判断基準
私がお客様にお伝えしている「これがあったらすぐに病院へ」の3つの基準をご紹介します。医学知識がなくても判断しやすく、重篤な疾患を見逃すリスクを大きく減らすことができます。
1. どんな姿勢でも痛みが変わらない
「楽になる姿勢がない痛み」は要注意です。
一般的な筋肉痛や痛みのひどいぎっくり腰であっても、横になったりなど特定の姿勢を取ったりすると痛みが軽減します。


しかし、以下のような重篤な疾患が潜んでいる場合では、姿勢を変えても痛みが全く緩和されません。
- 重篤な疾患の例
このチェックポイントとしては
このような痛みのケースではすぐに病院を受診するのが賢明です。
2. 熱を伴っている
発熱+痛みの組み合わせは、感染症や重篤な炎症性疾患の可能性があります。


特に以下のような状況では早急な受診が必要です。
- 38℃以上の発熱と痛み(個人差あり)
- 悪寒・震えを伴う発熱
- 解熱剤を使っても下がらない発熱
発熱+痛みに関連する疾患例としては
- 化膿性脊椎炎
- 髄膜炎
- 化膿性関節炎
- 重症肺炎
- 腹膜炎
発熱+痛みの組み合わせは危険と覚えておいてください。
3. 神経症状が出ている
神経の異常を示す症状は、脊髄や脳など生命に関わる部位の障害を示唆します。


神経症状は幅広いですが、以下の症状がある場合は緊急性が高いと考えてください。
- 手足のしびれ・麻痺
- 手足に力が入らない、思うように動かせない
- 排尿障害(尿が出ない、我慢できない)
- 排便障害(便失禁など)
- 呂律が回らない、言葉が出ない
- 複視(物が二重に見える)
- めまいで立っていられない
私のお客様でも「顔を洗うときに手が同時に動かない」と訴えていたケースで、実は脳に関する重篤な病態が進行していたことがありました。このような「何となく」の感覚も軽視してはいけません。
3つの緊急受診の振り返り
これまでに挙げてきた3つの基準は
- どんな姿勢でも痛みが変わらない
- 熱を伴っている
- 神経症状が出ている
これらのうち、1つでも該当する場合は迷わず医療機関を受診してください。特に複数の基準が重なる場合は、より緊急性が高いと考えられます。


ご自身やご家族、大切な方のためにしっかり覚えておいてください。
症状別レッドフラッグサイン詳細版
ここからは、部位別・症状別のより詳細なレッドフラッグサインをご紹介します。前述の3つの基準と合わせて参考にしてください。
腰痛のレッドフラッグサイン


基本的には前述の3つの基準で判断できますが、以下の点も重要です。
年齢・既往歴関連:
- 20歳未満または50歳以上での初発
- 悪性腫瘍の既往歴
- 長期間のステロイド使用歴
- 重度の外傷既往
追加の注意点:
- 原因不明の体重減少
- 夜間痛(横になっても改善しない)
- 腰痛に伴う下肢の筋力低下
- 発症年齢<20歳以下または>50歳以上
- 重度外傷既往(高所転落・交通事故など)
- 悪性腫瘍既往歴または現在治療中
- 長期ステロイド内服歴
- 免疫抑制状態(HIV・化学療法等)
- 原因不明の体重減少・食欲不振
- 持続する発熱・悪寒(感染性脊椎炎疑い)
- 夜間痛(横になっても改善せず)
- 進行性の下肢筋力低下・感覚鈍麻・腱反射異常
- 排尿・排便障害(馬尾症候群疑い)
- 激烈な局所痛(椎体圧迫骨折疑い)
頭痛のレッドフラッグサイン


緊急性の高い頭痛の特徴:
- 「今まで経験したことがない」激しい頭痛
- 「バットで殴られたような」突発的な痛み
- 数秒から数分で最大の強さに達する頭痛
- いつもと違う頭痛のパターン
随伴症状:
- 意識がもうろうとする
- 項部硬直(首が硬くなる)
- けいれん発作
- 局所神経症状(麻痺、言語障害など)
- 突然の最大強度到達(バットで殴られたような激烈発症)
- 進行性に増強する頭痛
- 50歳以上または小児発症の新規頭痛
- 意識障害・失神発作
- 項部硬直・ケルニッヒ徴候(髄膜刺激症状)
- 局所神経症状(麻痺・構音障害・複視)
- けいれん発作
- 免疫抑制状態・感染症既往(脳膿瘍等)
- 夜間頭痛・嘔吐(頭蓋内圧亢進疑い)
- がん既往の新規頭痛
胸部痛のレッドフラッグサイン


心疾患を疑うサイン:
- 圧迫感・締め付け感を伴う胸痛
- 首、肩、下顎、左上肢への放散痛
- 冷汗、吐き気を伴う
- 労作時の胸痛
大動脈疾患を疑うサイン:
- 引き裂かれるような激烈な胸痛
- 背部痛を伴う
- 血圧や脈拍の左右差
- 急性冠症候群疑い
- 大動脈解離疑い
- 肺血栓塞栓症の疑い
- その他
腹痛のレッドフラッグサイン


危険な腹痛の特徴:
- 突発的で激烈な腹痛
- 反跳痛(お腹を押して手を離したときの痛み)
- 筋性防御(腹壁が板状に硬くなる)
随伴症状:
- 吐血・下血
- 持続する嘔吐
- 腹部膨満
- 突発的かつ激烈な痛み(大動脈瘤解離・消化管穿孔等の疑い)
- 持続増強する痛み
- 反跳痛・筋性防御(腹膜刺激徴候の疑い)
- 黒色便・鮮血便・吐血(消化管出血の疑い)
- 持続する嘔吐・嘔気(腸閉塞の疑い)
- 腹部膨満
- 発熱・悪寒
- ショック兆候(冷汗・頻脈・低血圧など)
- 心血管疾患既往(動脈瘤破裂のリスク)
頸部痛・背部痛


- 発熱を伴う痛み
- 進行性の神経症状
- がん既往歴を有する場合
- 発熱・悪寒(化膿性脊椎炎の疑い)
- 進行性の神経学的異常(運動麻痺・感覚障害)
- 排尿・排便障害(馬尾症候群の疑い)
- 悪性腫瘍既往歴(転移性脊椎病変のリスク)
- 長期ステロイド使用歴(骨粗鬆性骨折の疑い)
関節痛


- 急激な発熱・関節腫脹
- 皮疹を伴う関節痛
- 急激な高熱・関節腫脹(化膿性関節炎の疑い)
- 単関節の著明な腫脹・疼痛(痛風発作・細菌感染の疑い)
- 多関節・対称性関節破壊進行(関節リウマチ活動性)
- 皮疹・粘膜症状併発(SLE・血管炎の疑い)
- 急激な可動域制限(血腫・腫瘍の疑い)
呼吸器症状、神経症状、全身症状
上記のレッドフラッグの他に、以下の呼吸器症状や神経症状、全身症状がある場合も注意が必要です。


- 突発的呼吸困難・胸痛
- 喀血
- 高熱・膿性痰
- チアノーゼ・SpO₂低下
- 声の嗄れ・嚥下困難
- 意識障害・失神発作
- 急速進行性片麻痺
- 高度言語障害
- 複視・眼球運動障害
- 中枢性めまい徴候
- 不明熱の長期持続
- 急激な体重減少
- 夜間発汗
- 出血傾向
- 黄疸出現
いつ、どこに相談すべきか


「すぐに受診」って言うけれど、一体何科に受診すれば良いの?それに、「実は大したことなかった」なんてことだったら申し訳ないし…。
昨今の医療業界は診療科が細分化され過ぎてしまって、一体何科に受診すれば良いのか分からない方も多いと思います。また、病態や個人差によって症状の感じ方も異なります。
そこで、今回のような緊急性が高い(レッドフラッグサインに該当する)と判断した場合は、以下のような対応をしてください。
緊急受診(119番または直接救急外来へ)
私の取り上げた3つの基準のうち複数該当する場合や、以下の状況が当てはまる場合は正に「すぐに受診」することが重要です。
- 意識障害
- 呼吸困難
- 大量出血
- ショック症状
この場合はすぐに119番で状況を伝え、救急車を呼んできてもらいましょう。


「ちょっと怪しい」「普段と違う」と思ったら
私の取り上げた3つの基準のうち1つでも該当する場合や「ちょっと怪しい」「普段と違う」と感じる場合は総合診療科もしくは内科を受診しましょう。この2つは一番対応範囲が広く、全身のスクリーニングや初期診断ができますし、その上で必要であれば各専門科を紹介してくれます。


また、症状がはっきりしている場合は以下の診療科の例を参考にしてください。
- 明らかな急性の胸痛や強い動悸:循環器内科、救急外来
- ひどい頭痛や意識障害、言語障害:神経内科、脳神経外科、救急外来
- 重度の腹痛や血便:消化器内科、外科、救急外来
- 急な呼吸苦・喀血:呼吸器内科、救急外来
- 明らかなケガや骨の変形:整形外科・救急外来
地域によっては「医療相談ダイヤル」や「#7119」、時間帯によっては「夜間救急」等の電話相談窓口の利用も可能です。ご自身のお住まいの地域でどのような医療サービスがあるのか、一度調べておくことをオススメします。
いずれにせよ、迷った場合や少しでも不安がある場合は、専門家へ早めに相談・受診してください。
よくあるご質問
ここからはよくある質問に対する回答をご紹介します。これまでの復習代わりにもお読みください。


- Ramanayake RP, Basnayake BM. Evaluation of red flags minimizes missing serious diseases in primary care. J Family Med Prim Care. 2018;7(2):315-318. doi:10.4103/jfmpc.jfmpc_99_17
- Oliveira CB, Maher CG, Pinto RZ, et al. Clinical practice guidelines for the management of non-specific low back pain in primary care: an updated overview. Eur Spine J. 2018;27(11):2791-2803. doi:10.1007/s00586-018-5673-2
- Downie A, Williams CM, Henschke N, et al. Red flags to screen for malignancy and fracture in patients with low back pain: systematic review. BMJ. 2013;347:f7095. doi:10.1136/bmj.f7095
- Kernick D, Reinhold D, Campbell JL. Impact of headache specialist liaison clinics on patient care and cost: a service evaluation. Br J Gen Pract. 2009;59(558):51-57. doi:10.3399/bjgp09X394815
- Henschke N, Maher CG, Refshauge KM, et al. Prevalence of and screening for serious spinal pathology in patients presenting to primary care settings with acute low back pain. Arthritis Rheum. 2009;60(10):3072-3080. doi:10.1002/art.24853
関連記事
今回の記事ではレッドフラッグサインについてまとめました。以前に投稿した腰痛のレッドフラッグサインや、内臓の不調や病態が痛みとして発現するメカニズムについても過去に投稿しております。以下の過去記事を参考になさってください。
まとめ:あなたの健康と命を守るために
レッドフラッグサインは、重篤な疾患を見逃さないために医療現場で使われている重要な概念です。しかし、一般の方にとってすべてを覚えるのは困難です。
そこで私がお勧めするのは、以下の3つのシンプルな判断基準です。
- どんな姿勢でも痛みが変わらない
- 熱を伴っている
- 神経症状が出ている
この3つのうち1つでも該当したら、迷わず医療機関を受診してください。
重要なポイント:
私の経験からも、これらのシンプルな基準を理解し適切に行動することで、多くの重篤な疾患を早期に発見し、医療機関での治療につなげることができます。この記事をお読みのあなたやあなたの大切な方の健康な生活と命を守るため、ぜひこれらの知識を活用していただければと思います。
最後に、「何か心配」と感じたときは、遠慮なく医療機関に相談してください。あなたの直感も大切な判断材料の一つです。
なお、この記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的判断に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関での適切な診察を受けてください。
神奈川県伊勢原市の整体院すいっちでは、健康に関する一般的な情報提供も行っています。理学療法士の資格を持つ施術者が、あなたの健康管理をサポートいたします。体の不調や健康に関するご相談がございましたら、お気軽にお声かけください。
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お腹が痛いなぁと思ってたら…実は緊急手術が必要な状態でした…。