
何十年も腰痛持ちで、体が軽かった子どもの頃が懐かしい…
このように何か不調があったとしても「とりあえず生活はできているし、たいしたことないから」と放置していませんか?実は、この「たいしたことない」体調不良が、あなたの人生に与える経済的損失は想像以上に深刻かもしれません。
厚生労働省の最新データ(令和4年度)によると、私たち日本人の一人あたりの生涯医療費は約2,900万円という衝撃的な数字が明らかになりました。そして、もっと深刻なのは、多くの方が気づいていない「体調不良による隠れた経済損失」です。
整体師として多くの方と接する中で「健康の価値」をお伝えする場面は何度となくありますが、今回のように経済的な視点で「健康の価値」をご理解していただくことは重要だと強く感じています。今回の記事では、専門的な知識がない方にもわかりやすく、生涯医療費の真実と健康でいることの「見えない経済価値」をご説明いたします。
もくじ
生涯医療費の衝撃的な現実
厚生労働省が発表した令和4年度の最新データによると、日本人の生涯医療費は次の通りです。
- 男女計:約2,900万円
- 男性:約2,800万円
- 女性:約3,000万円
この数字は、保険診療にかかった年齢別の医療費を合計したもので、従来の推計を大幅に上回る金額となっています。つまり、私たちは生涯にわたって約2,900万円もの医療費がかかる計算になるのです。

あなたが実際に支払う金額は?
しかし、実際にあなたの財布から出ていく金額は健康保険制度により大幅に軽減されます。公的医療保険の自己負担割合は年齢によって異なります。
- 6歳~70歳未満:3割負担
- 70歳以上:2割負担(一定所得以上は3割)
- 75歳以上:1割負担(一定所得以上は2割または3割)
このように病院の窓口で実際に支払う医療費は異なりますが、これを踏まえた上で実際の自己負担額は生涯で約861万円となります。

月額に換算すると、毎月約1万円を生涯にわたって医療費として支払い続けることになります。ただし、これは月額に平均した場合の金額です。仮に何年も病院にかかっていなくても、ある時に急に膨大な医療費がかかる時がくるかもしれません。
70歳を境にした医療費の集中
特に注目すべきは、生涯医療費の約半分が70歳以降に集中することです。70歳以降も元気で働く意欲があれば収入がある中で病院にかかれる(もしかしたらかかる必要がない)かもしれませんが、おそらく多くの方はそうではないでしょう。

個人的には、老体に鞭を打って健康を犠牲にしながら働き、体を壊して何とか医療費を捻出するような方を見てきたことがあります。とても大変な思いをされていました。つまり、これは若いうちからの健康管理がいかに重要かを物語っています。そして、早い段階から健康投資を行うことで、将来の医療費を大幅に削減できる可能性があるのです。
生涯医療費に含まれるもの・含まれないもの
ところで、ご紹介した厚生労働省の「生涯医療費」のデータに含まれるのは、保険診療分のみです。保険診療とは、保険医が保険医療機関で健康保険法などにのっとって行う診療のことで、病院でかかった治療費や入院費の多くがこれに当たります。
つまり、生涯医療費に含まれない保険適用外の「隠れた医療費」というものが存在ます。
保険適用外の「隠れた医療費」
生涯医療費に含まれない「隠れた医療費」の例としては以下のものがあります。
- 健康診断・人間ドック:予防目的のため保険適用外
- 予防接種:インフルエンザワクチンなど
- 市販薬の購入費:ドラッグストアでの購入費
- 先進医療の技術料:重粒子線治療(平均318万円)など
- 差額ベッド代:個室利用時(1日平均8,315円)
- 入院時の食事代の一部:1食460円の標準負担額超過分
- 通院のための交通費・宿泊費
- 美容目的の医療:整形手術、歯のホワイトニングなど
予防目的や自由診療科目のものなどは一般的です。この他にも、今後は制度が変わるかもしれませんが、妊娠や出産は原則として病気ではないという理由で、産科における妊婦健診や正常分娩は保険適用外で自己負担となっています。
高額療養費制度の実際の効果
高額療養費制度は、1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合に超過分が払い戻される制度です。例えば70歳以上で年収約370〜770万円の場合、月間の医療費が100万円かかっても、実際の自己負担は約8万7,430円に抑えられます。
生涯医療費の計算にはこの高額療養費制度適用後の金額が反映されているため、実際の負担はさらに軽減される可能性があります。
体調不良による「見えない経済損失」の正体
ここからは生涯医療費とは別の視点で「見えない経済損失」についてお伝えしていきます。
実際にかかる医療費以上に深刻だと思われるのが、体調不良による生産性の低下です。体調不良を抱えながらも出勤し、本来のパフォーマンスを発揮できない状態のことを「プレゼンティーズム」と言います。
昭和医科大学の研究によると、日本人の平均的なプレゼンティーズムは84.9%で、これは15.1%の生産性が失われていることを意味します。例えば年収400万円の方の場合、この生産性低下により年間約60万円の経済損失が発生しています。

年間60万円の損失を身近な金額で考える
年間60万円の損失を身近な金額で置き換えるとどうなるでしょうか?物価高の昨今では地域差もあるとは思いますが、さらっと調べてみたら以下のようになりました。
- 家族旅行数回分を諦めているのと同じ
- 新車のオプション代を毎年失っているのと同じ
- 子供の習い事費用1年分を無駄にしているのと同じ
- 毎月約5万円の給料カットと同じ効果
40年間で失う驚愕の2,400万円
さらに25歳から65歳までの40年間、年間60万円の損失が続くと、累計で2,400万円もの経済損失となります。これは
- マイホームの半額程度に相当
- 高級車1〜2台分の価格
- 子供数人分の大学費用と同等
体調不良によりキャリアアップ(昇進や昇格)の機会損失も考えられますが、具体的な金額に置き換えると相当なものだとお分かりになると思います。
逆に、健康的な状態を維持できれば安定した収入の確保、定年後の就労継続、公的年金の受給増加などのメリットが考えられます。
健康投資の驚異的な効果
多くの方が整体や健康管理を「コスト」と考えがちですが、実際には最高の投資です。月1万円の健康投資で年間60万円の損失を回避できれば、その投資効果は500%にもなります。
500%の投資効果という驚異的な数字
健康への投資利益率(ROI :Return on Investment)を他の投資と比較すると:
- 健康投資ROI(月1万円):500%
- 株式投資平均ROI:5〜7%
- 定期預金ROI:0.1%
株式投資の平均リターンが年間5〜7%程度であることを考えると、健康投資の500%という数字がいかに驚異的かがわかります。
生涯医療費削減の可能性
大崎国民健康保険加入者コホート研究では、生活習慣の改善により医療費を大幅に削減できることが示されています。運動不足、肥満、喫煙のリスクがすべて同時に存在する場合、医療費は43.1%も上昇することが明らかになっており、逆にこれらのリスクを排除することで医療費の大幅な削減が期待できます。
適切な健康管理により、生涯医療費の10-20%削減が可能とされています。具体的には
- 男性:78万円~155万円の削減
- 女性:85万円~169万円の削減
いかがでしょうか。生涯医療費という具体的な金額が削減が期待できます。もちろん、その裏には不快感や痛みなどのない快適な生活があるのです。

整体師が教える健康の経済価値を高める5つの方法
これまでもブログでさまざまな記事を書いてきましたが、すぐに取り組めるであろうものをざっくりと挙げてみます。
1. 正しい姿勢による生産性向上
正しい姿勢を維持することで、首や肩への負担が軽減され、集中力が向上します。デスクワークの際は、モニターを目線の高さに調整し、足裏全体を床につけて座ることを心がけましょう。
現代人は座って作業をする方が多いと思いますので、座り方の記事もありますので参考になさってください。
2. 定期的なメンテナンスの重要性
車の定期点検と同様に、体も定期的なメンテナンスが必要です。月1回程度の専門的なケアにより、大きな不調を未然に防ぐ確立を高めることができるでしょう。
3. セルフケアの習慣化
毎日5分間のストレッチやセルフマッサージを習慣化することで、筋肉の緊張を和らげ、血流を改善できます。特に朝や就寝前の実践が効果的です。
4. 食事と睡眠の最適化
バランスの取れた食事と質の良い睡眠は、体の回復力を高めます。食事についてもいくつか記事を書いていますが、こちらの記事などがおすすめです。
5. ストレス管理の実践
慢性的なストレスは筋肉の緊張を引き起こし、様々な体調不良の原因となります。深呼吸や軽い運動、趣味の時間を設けることで、ストレスを適切に管理しましょう。ストレスに関してはこちらの記事などがあります。
Q&A:よくある質問と回答


- 大崎国民健康保険加入者コホート研究グループ. 大崎国保コホート―高齢者と医療費―. Geriatr Gerontol Int. 2008;45(2):172-179. https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/45/2/45_2_172/_pdf/-char/ja
- 厚生労働省. 医療費の財源構成(令和4年度). 2022. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/mieruka_2022.pdf
- 野村證券. 生涯にかかる医療費はどれくらい? データで見る病気への備え. 2023. Available from: https://www.onad.co.jp/finds/contents/article/20230908/kcba.html
- 黒田尚子. 第3回 親子でトクする老後のはなし ③医療・介護にかかるお金はどう考える?. コープ共済. 2024. Available from: https://coopkyosai.coop/about/lpa/column/fp_240920_01.html
- 厚生労働省. 高額療養費制度について. 2025. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001492935.pdf
まとめ:健康は人生最高の投資
令和4年度の最新データにより、生涯医療費は約2,900万円に達し、実際の自己負担も約860万円という現実が明らかになりました。さらに、体調不良による年間60万円、40年で2,400万円という「隠れた損失」もあることも明らかになりました(年収400万円の場合)。
つまり、健康でいることは、年間60万円相当の「隠れた収入アップ」と同じ効果があります。月1万円の健康投資で500%のリターンを得られる投資は他にありません。
整体やセルフケアは「贅沢」ではなく「必要投資」です。肩こりや腰痛を「たいしたことない」と放置することのリスクが少しでも伝わったでしょうか?健康とは、あなたとあなたの家族の未来を支える最も重要な「資産」だと私は思います。今日から健康への投資を始めることで、豊かで充実した人生を手に入れましょう。
神奈川県伊勢原市の整体院すいっちでは、医学的根拠に基づいたアドバイスとともに、お客様一人ひとりに合った施術を提供しています。お体の不調でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。ぜひ、以下の画像をタップして当院のホームページもご覧になってみてください。


何となく体が重だるくて本調子じゃない…